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2004.11.10

竜騎士回顧録 ガルレージュの入り口で(FF11)

 敵の標的が赤魔道士へと向う。

「くそ!お前の相手はこっちだ!」

 私と戦士が、敵の注意を引くべくフォーメーションを変える。崩れたフォーメーションを立て直すころには、Borer Beetleはピクリとも動かなくなっていた。

 ここはガルレージュ要塞。その昔、エルバーンが建造したという巨大な建造物はいまや朽ち果て、無残な姿を晒している。壁はいたるところで崩れ、床が抜けている場所すらある。そんな、およそ人の住める場所ではないガルレージュ要塞だが、冒険者達が探索に赴く代表的な場所の一つだ。
 ジュノでパーティを組んだ私達は、ここに巣くう甲虫退治をすべくこの廃墟を訪れていた。

「ふぅ~~」

 戦士が大きく息を吐き、シーフが困ったような視線をこちらによこす。どうもフォーメーションが悪い。具体的に言うと赤魔道士の位置取りが悪い。

「危ないから俺の側に立たないで」

 そう戦士が言うのも何度目か。どうしたものかと思っていると突然詩人が宣言した。

「はーい、敵役に立候補します」
「?・・・・・OK」

私は素早く詩人の後ろに回り込むと、こう言う。

「詩人を発見。攻撃するよ」

 ピンときた戦士とシーフも詩人を取り囲んだ。こうして、詩人を仮想敵としたフォーメーションの確認が始まった。各々の位置取りを再確認したことで驚くほどスムーズに戦える様になった。1体の獲物を屠った後、パーティはほとんど消耗していない。バラードを奏でながら詩人が前衛に声をかける。

「さぁ、どんどん行きましょうか」

 順調に戦いを続け、そろそろ引き上げ時となった私達は最後と決めた敵を倒すと要塞出口近くで身体を休めていた。

「いやー最後とはいえ、骨は強かったなぁ」
「しかも硬いし」
「硬いというか。槍が刺さんないんだよね、あれ」
「あーなるほどねー」

 中々良い具合に経験が積めたことでパーティ内の雰囲気も明るく、緊張から解放されて皆饒舌だった。

「ん?なんだ?」

 何やら奥の方から悲鳴が聞こえたかと思うと、1組の冒険者達が私達の脇を通りすぎて出口へと向っていった。その後ろを追いかけるBorer BeetleとFallen Evacuee・・・・。思わず呆然と見送る。

「・・・・・おいおい」
「あの2匹、見たこともないくらい強いよ!」

 赤魔道士が悲鳴を上げる。敗走した冒険者達は何とか出口に辿り着き、要塞から脱出したようだった。取り残された2匹が出口で動きを止める。
 
「あれは・・・やばいよ」

 無意識のうちに背中のランスに手を掛ける。パーティ内で最も経験を積んでいたのは私だった。そしてその私から見てもあの2体は危険な敵だった。恐らく、今日倒してきた敵のどれよりも強いだろう。

 出口はすぐ。敵の攻撃は受けるだろうけど、全力で走りぬければ恐らく無事に要塞を脱出できるだろう。奴らは太陽が照らす外界へは追って来ない。そして私達は予定通りジュノへと帰還できる。しかし・・・。

 ちらりと後ろを振り返る。そこでは多くの冒険者達が蝙蝠を狩っていた。狭い通路は冒険者でいっぱいで、走り抜けるのも困難なほどだ。そして彼らは私達よりも力量は下だった。恐らくあの2体と戦うことのできるのはこの場で私達だけだろう。あの2体が入り口から戻ってきた時に起こるであろう惨劇が容易に想像できた。

どうする?

 その時、ヒーリングを終えた詩人がゆっくりと立ち上がると、竪琴を爪弾き始めた。

「さぁ・・・やろうか」

 そういうことになった。

 今まで何匹も倒したBorer Beetleと同じように戦士が攻撃を引き付け、私とシーフが敵の急所を狙う。問題ない、やることは何も変わらない。しかし戦士にかかる回復呪文は明らかに今までよりも強力なものだ。冒険者としての感覚が、この敵を無事倒せることを告げる。そして同時に、魔道士達の消耗が今までと比べ物にならないということも肌で感じていた。

 Borer Beetleが動きを止めるとすぐさま後衛3人は跪き精神集中を始める。消耗した魔力を回復させなければならない。私とシーフはその3人をかばうように並び立った。無論武器は抜いたままだ。

 視線の先にはFallen Evacuee。先ほど苦戦したスケルトン族だ。あと数歩で槍が届く場所で、そいつは生気のカケラも無い真っ黒な眼窩をこちらに向けていた。
 
「ふん、ご丁寧に待っててくれたか」

 剣を収め挌闘武器を準備した戦士がゆっくりと歩み出る。

「こんな奴素手で十分だな」
「・・・いや、素手じゃないし」
「細かいこと気にするな」

 とても命懸けの戦いをしているとは思えない軽口を叩き合う戦士とシーフ。しかしその目はしっかりと敵を捕らえて離さない。
 
「それよりも、なんだか随分とギャラリーがついてるよ」

 白魔道士が苦笑しながら指をさす。視線を上げると階段の上に何人もの冒険者達が私達を見下ろしているのが見えた。無理も無い。とても勝てそうもない強力な敵が入り口近くに陣取っているのだ。このままでは要塞出入り口は事実上閉鎖状態だろう。

 そしてついに、Fallen Evacueeがこちらに駆け寄ってきた。

「くる!」
「いくぜ、第二ラウンドだ!」

 満足に回復もできぬまま、新たな戦いが始まった。

 今まで敵の攻撃を一身に受けていた戦士が深い傷を受けてよろめく。すかさず私が盾となり彼の回復する時間を稼ぐ。Fallen Evacueeが真っ黒い雲を吐き出し、仲間達の体力がごっそりと削られる。すかさず強力な回復呪文がいくつも飛ぶ。

 壮絶な消耗戦の中、敵の動きも明らかに弱まってきた。詩人が、赤魔道士が、呪文を使い果たし剣を抜いて切りかかる。もはや数えるのも嫌になった何度目かの黒い雲が晴れた後、カラカラとあっけない音をたててFallen Evacueeが崩れ落ちていた。跡に残ったのは床に散らばる一人分の骨。

「・・・・・つかれた~~~」

 戦士がばったりと大の字に倒れ込む。見回せば皆、恥も外見もなくその場に座り込んでいた。

「暗闇で前がよく見え~ん」
「ごめん、今はブライナもかけられないよ」

 紙一重の総力戦だった。

 座り込む私達の脇を何事もなかったかのように、冒険者達が行き交う。彼らが私達を誉めるわけでもなく、お礼を言うわけでもなく。だけど私達の顔は皆充実感に溢れ、とても誇らしげだった。

 しばらくして、ヒーリングを終えた詩人がゆっくりと立ち上がると、竪琴を爪弾き始めた。

「さぁ、帰ろうか」

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コメント

GJ(>_<)b

投稿者: エロモンク (2004/11/11 12:14:28)

プレイしているのは自分だけじゃない。
ほかのプレイヤーたちを守るために盾なる矛となる。

熱いですなぁ。漢(おとこ)ですよぉ。
似たような経験は誰しもあるはず。一気に読ませていただきました。

しかし、こういうパーティ同士の連携こそが大型ネットワークMMORGの醍醐味でもあります。
私も、【アルテパ】で「みんなの力を貸してくれ!」とSayで告げて格上のアリに突っ込み、【救援要請】でみんなでふくろ叩きしたことがあります。

アリを撃退したときはみんなで/clap /hurrayしてお互いの検討をたたえました。みんな考えることはいっしょだったんだなとちょっぴり感動したしね♪

投稿者: Rikisan (2004/11/11 16:34:57)

>エロモンクさん
(*´д`*)

>リキさん
ああ、いいですなぁ、急遽みんなで協力して敵を迎え撃つとか。
2、3PTが共存できる狩場で、時々ちょっと強いNMが沸く場所が私は好きです。
オンゾゾのオセとか、クフタルのヨーウィーとか。
「よーし、いっちょ気合入れて排除するかー」
という展開は、反復作業になりがちなレベル上げにはいい刺激だと思います。

レベル上げのメッカにドロップがお小遣い程度でちょっとだけ強いNM追加はとてもいい調整だと思うんですけどね。

Oseはちょっとドロップ品が良すぎますが(笑)。

投稿者: 妄想竜騎士 (2004/11/12 11:32:58)

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