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2004.12.20

トゥーリアの宝(FF11)

「まだだ。動くな」
攻撃部隊を指揮するガルカの声で我に返る。
無意識のうちに踏み出していた一歩をゆっくりと戻す。
手のひらにじっとりと汗がにじんでいた。

トゥーリアの主、麒麟との戦いはすでに始まっていた。

これは・・・拷問だ。
今広間の中心では、仲間達と麒麟が激しい戦いを繰り広げている。
しかし、今の私達に必要なことは待機。
例え目の前に瀕死の仲間がいても、援護も回復してやることも許されない。
狂おうしい程の時間。

開戦からかなりの時間が過ぎた。
麒麟陽動部隊は必死に攻撃をひきつけ、かわし、時に傷つきながらも静かに作戦を遂行していた。

「来たぞ!」

リンクパールを通して報告。
全員に緊張が走った。
麒麟が光を纏いながら、何者かを召喚しようとしている。

「朱雀!」

攻撃部隊、盾部隊、回復部隊が一斉に動き出す。
本当の意味での麒麟戦が今、始まった。


盾部隊が囮となり、朱雀を作戦ポイントへと誘導する。
待ち構えていた攻撃部隊が一斉に全力攻撃を叩きつける。

「出し惜しみはなしだ!」

これまでも、幾度となく戦ってきた四神。
勝利を目指して戦いながら、あくまで犠牲を少なくすることが重要だった。
しかし今日の戦いだけは違う。
重要なのは「スピード」。
一秒でも早く敵を無力化する。
そのためだけにあらゆる技能を費やし、代償に自らの命すら支払う。

視界が真っ赤に染まり、朱雀のファイガが炸裂する。
「連続魔!」
しかし攻撃部隊は手を緩めることなく次々と武器を振るう。
一瞬で数人の仲間が吹き飛ばされる隙に、仲間の赤魔道士も連続魔を発動する。
次々と強力な魔法を唱える朱雀に降り注がれるたった一人によるスタン。
激しい魔力と魔力がぶつかりあい、相殺される。
動きを止めた朱雀に、仲間達が殺到しその命を奪う。


「白虎!!」

すぐさま次の四神召喚の報告が届く。
朱雀と同様、作戦ポイントに誘導し、攻撃部隊が攻撃。
強力な爪と咆哮をもってしても、今の私達を止めることはできない。
絶対回避をも無視したなりふり構わぬ攻撃に、白虎もその巨体を横たえる。


「玄武だ!!」
「まかせろ!」

攻撃部隊から数人が飛び出し、玄武へ向かう。
そして玄武を別の作戦ポイントへ誘導。
そこで時間稼ぎを試みる。
その間に私達は最後に現れるであろう青龍の迎撃体勢を整える。
こういう局面では、ある意味青龍は非常に厄介な敵だ。
近寄る仲間達を麻痺させ、魔法を封じ、身を包む魔法を剥ぎ取ってくる。
深刻な被害を撒き散らす前に、瞬殺しなければならない。


「青龍!!」

広間に出現した青龍を作戦通りに処理する。
一瞬、青龍から力が迸った。
そして一気に加速する。
百烈拳。
その巨大な顎が、目の前で武器を振るう者を捕らえようとした瞬間、一人のナイトが滑り込む。
「しばらく付き合ってもらおうか!」
インビンシブル。
嵐のような攻撃が彼を襲う。
しかし、今の彼を傷つけることはできない。
「次は私よ!」
時間差をおいて、二人目のナイトが攻撃を引き受ける。
龍の牙が失速すると同時に、青龍はその命も失っていた。


「青龍撃破!」
「よくやった!」
「まだだ!」

たった数人で玄武を凌いでいた仲間が戻ってきた。
すぐさま傷ついた体に回復魔法が飛ぶ。
青龍を倒したばかりの私達も、一息つく事もなく玄武迎撃に参加する。
防御を固めて粘る玄武を精霊魔法が打ちのめし、撃破する。

「四神処理完了!!」
「よし!」

全員の士気がこれ以上ない程に上がる。
残るは・・・・麒麟のみ!

「なんだあの再生速度は」
「ちっ、反則だな・・・」

部隊を再編成して麒麟へと戦力を集中。
そこで私達を驚愕させたのは、その異常ともいえる再生能力だった。
剣技を叩き込み、魔法を撃ちつけ、遠隔攻撃を突き刺しても、次々傷がふさがっていく。

それでも僅かではあるが、ダメージは蓄積しているようだ。
ならば私達はひたすらそれを続けよう。

群がる冒険者から攻撃を受けながら、麒麟は猛威を振るう。
確かに私達は奴に傷を与えているが、こちらの被害も甚大だ。
紙一重のバランスを破られた時、ナイトが、忍者が崩れ落ちる。
黒魔道士が、狩人が、一撃と引き換えに吹き飛ばされる。

「一旦離脱します」
「交代いきます」
「残り魔力は?」
「まだいける」
「次、盾部隊の白魔道士交代いくよ」
「蘇生完了。戦線に復帰します」
「ヘイストお願い」

激しい戦いと裏腹に、リンクパールから聞こえる声は淡々としたものだ。
全員が、ただ一つの目的のために与えられた責務を果たしていく。

私は大車輪を叩き込んだ後、一旦広間の壁際までを離脱していた。
私達人間は一時も休まず戦いつづけることはできない。
自分の全力を振り絞ったら、潔く後退し力を溜めるのも重要な仕事だ。
このような長期戦で、アタッカーは戦闘中に睡眠を取ることすら要求される。

そろそろ戦線に復帰しようとしたその時だった。

「警告!アストラルフ・・・」

ズズン・・・・
広大な広間に衝撃波が走った。
無慈悲な力が、仲間達を飲み込んでいく。

「被害を報告!!」
「こっちは4人やられた!」
「盾は何枚残ってる!!」
「しばらくもたせて!」
「蘇生急げ!!リレイズが切れてた者にレイズ!大至急だ!」

一気にリンクパールが騒がしくなる。

「ここが踏ん張りどころだ!いいか!立て直すぞ!」

すでに開戦から、丸一日が過ぎようとしていた。

大車輪を叩き込んだ直後、すさまじい衝撃を受けて目の前が真っ暗になった。
気づけば、壁際まで吹き飛ばされていた。

冷静に自分のダメージを分析する。
多量の出血。
数箇所の骨折。
武器はある。
手も足も動く。
なにより・・・・まだ死んではいない。
ならば何も問題はない。

口元の血を拭うと、私は再び麒麟へ向かって疾走した。
太い腕をかわし、しなる尻尾を掻い潜り。
もう一撃!
さらに一撃!
ただひたすら、愛用のランスで突き続ける。


再生能力の低下した麒麟は徐々にその動きを鈍らせていった。
油断することなく、私達は一撃一撃追い詰めていく。

やがて、最後の瞬間が訪れた。
魔法と剣技が突き刺さり、巨体の動きが止まる。
そしてゆっくりと崩れ落ちていった。

長い間、私達はトゥーリアで戦い続けて来た。
その集大成が目の前にある。
それは麒麟の亡骸や戦利品ではない。

困難な戦いを乗り越えて来た仲間達。
ズタボロになりながらも、歓声を上げ、肩を組み勝どきを上げる。
そして皆のその笑顔。

今日私は、トゥーリアで最高の宝を手に入れたのかもしれない。

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コメント

一番乗り!

いやぁ。手に汗握りながら一気読みさせていただきました。すばらしい。

友との絆→priceless

投稿者: Rikisan (2004/12/21 9:26:49)

麒麟討伐、おめでとうございます!


Rikisan殿の応用で…

空の果てで、戦友と勝ち得た『何か』……Priceless
お金で買えない価値がある、買えるものは、ジュノ競売で。

投稿者: Qu (2004/12/21 11:50:56)

日記本文で燃えて、コメントでウケました(笑)
出品手数料が増えたと思ったら、こんな形で宣伝経費を使っていたとは…!

僕は四神どころかお空にも行けない身ですが、できればいつか、トゥーリアで最高の宝を手にしてみたいです。

投稿者: しゅん (2004/12/21 17:53:15)

まずは賞賛おめでとうございます

妄想さんに刺激され再び槍を使い始めフレのお手伝いでゲイボ取り、Mランク10、そして一気に流砂を越えて空まで行きましたヽ(´▽`)ノ
@1000でナラシンハ着れる所まで来たところで
麒麟戦の文章みて感激しております^^

妄想さんに負けないくらいこれからも大車輪撃ちまくりますよ~( ´∀`)

投稿者: ただ今竜騎士休止中!改竜騎士再生@1000で74 (2004/12/21 19:59:11)

>リキさん
そういえばFF11って「絆」がテーマでしたっけ。
すーかり忘れていましたが(笑)。
しかし「絆」が集まると処理が重くなるのが難点ですねぇ。
転送量の半分は「絆」で出来てるとかそういうのでしょうか。

>Quさん
買えるものはジュノ競売・・・・。
(システム的に)買えるけど(財布的に)買えないものがいっぱいです。
ボーナス払いで呪物売って~~。

>しゅんさん
ジュノ競売の収支を公表してもらいたいですねぇ。
鯖毎に。
手数料だけで相当な額を儲けていると思いますよ。
でも人件費と固定資産税で利益0ギルとか発表されそう(笑)。

>ただ今竜騎士休止中!改竜騎士再生@1000で74さん
ゲイボとかランクとかおめでとうございます。
そしてなにより竜騎士再会おめでとうございます。
うちの日記が少しでもきっかけになったならとても光栄です。

投稿者: 妄想竜騎士 (2004/12/22 18:39:29)

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