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2005.01.20

あの背中に(FF11)

「ん~?そうそう。今ウィンダス」

裁縫ギルドの扉をくぐりながら、リンクパールに向かって会話を飛ばす。

「リ・テロアがウィンダス領だからOPテレポで行くよ。じゃ、現地で」

会話を打ち切ると、手の中の小さな珠をポケットに放りながらウィンダス港へと向かった。
裁縫ギルドに指定品を納品してから、アウトポスト経由でトゥーリアへ。
ジュノのチョコボ屋は高いので、リ・テロアがウィンダス領の時はいつもこのルートだ。

しかし、ウィンダス港の目的の場所へついた私を待っていたのは、予想外の光景だった。
なんか、凄い、行列が・・・。
一体何事?

「ちゃんと並んでくださーい!順番に!じゅんばんにーー!」
なんて叫びが人垣の中心から聞こえてくるが、声の主の姿は全く見えない。
ああいう時、タルタルは大変だなと思う。

こりゃしばらく待った方が良さそうだ。
ふと港の方を眺めると、一人の初老の男性が釣りをしているのが目に入った。
何故かその男の周囲だけ、まるで隔絶されたように喧騒と無縁だった。
私はゆっくりと彼に歩み寄ると、横から水面を覗き見た。

「釣れる?」
「いや・・・よくないな」

男はこちらを一瞥すると、すぐに水面に視線を戻してニコリともせずに答えた。

「今日は、漁は休み?」
「既に引退した。これは・・趣味のようなものだ」
「ふーん・・・」

ちらりと男を盗み見ると、腕にはいくつもの傷があった。
それは海を、嵐を、モンスターを相手に、戦ってきた証だった。

「歴戦の海の戦士・・・・か、尊敬されてるんだろうね」
「歴戦のウィンダスの英雄様ほどではないさ」
「・・・知ってるんだ」
「ウィンダスで知らぬものはいないだろう」
「別に・・・英雄になるために冒険者になったんじゃないんだけどね」
「じゃあ、何のためだ?」
「・・・・・」


しばらくの間、二人とも口をきかず、じっと水面だけを見ていた。

「釣れないね」
「ここは釣り人が多いからな、仕方ない」

男は諦めたような口調でため息をつく。
だが、何故か不満気な雰囲気は感じなかった。
私は最初から抱いていた疑問を尋ねてみた。

「いつもここで?」
「・・・・リ・テロアがウィンダス領土の時はな」
「そっか・・・・・知らなかった」

振り返ると既に人垣は消え、2人程がテレポを待っているだけだった。

「じゃあ、そろそろ行かないと。人も待たせてるし」
「そうか」
「それじゃ、またいつか」
「ああ」

男の側を離れて、アウトポストテレポ担当のタルタルの元へ歩み寄る。

「リ・テロアにお願い」
「は~い」

タルタルが魔法を唱え始めた時、背後から男の声がかけられた。

「旅はまだ、終わらないのか?」
「・・・うん」
「大切なものは、見つかったか?」
「・・・・見つかった・・・と思う」
「ならばお前はもう、一人前だ。自分の信じた道を行け」


「では、良い旅を~」
タルタルの見送りの声と共に魔法の光に包まれる。
視界が真っ白に染まる直前振り返ると、そこにはもう、誰もいなかった。

だけど私は、確かに見えた気がした。
歴史が刻まれた、戦士の背中を。
それは、幼い頃からずっと、ウィンダス港のあの場所で見つめていたもの。
もう、忘れかけていたもの。

「どうした?いつもより気合が入ってるような」
仲間達といつものようにトゥーリアを探索していると、やっぱり指摘された。

「・・・初心を思い出した」
「初心?冒険者の?」
「いや、もっと前の」

仲間が不思議そうに首をひねる。
私はゆっくりと手を前に伸ばす。
その手の先にある、いまだ届かないものを掴むように。


「あの背中に、追いつきたかったんだ」

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コメント

私が追っている背中はどんどん離れて行きますorz
っていうか、そろそろ2周目に追い抜かされそうな勢いです……w

投稿者: キャプテンダルメル (2005/01/20 20:21:47)

とりあえ~ず、私はなにをしたいんだろ~。(^^;)
なんとなく低レベルのジョブばかりをちょっとずつ上げている毎日・・・。

まぁのんびりいきます。でもそろそろメインジョブに復帰してもいい頃合ではありますね。そろそろ・・・(笑)

投稿者: Rikisan (2005/01/20 22:28:32)

なんかいつもと違ってスゲエと思いながら読んでいて
最後、感動した!と思って読み終わると、
この書き込みのジャンルが「妄想ストーリー」
に分類されてて、
兄者、流石だな(´ι _`  )
と落ちを妄想してしまった禿モ。

投稿者: 禿モ (2005/01/21 1:00:42)

ウィンOPテレポは度々利用しますが、
そこまで頭が回りません。カッコイイ。流石です。

自分はどうして竜騎士をメインに選んだんだろう…
思い返せば、サポ取りの時にペンタでボギーを瞬殺していた、
先輩戦士の輝いていた姿を見た時だったっけ。
ペンタ→槍→竜騎士という単純思考ですが。

今はその先輩戦士も引退してしまいましたが、
相棒と一緒に、若い後進をジュノや他国へ護衛したりしてます。
そう、先輩がそうしてくれた時のように。

投稿者: kz (2005/01/21 1:25:02)

誰かの背中を追いかける・・・ありますね~♪
私が竜騎士を目指したのも、サポアイテムを手伝ってくれたLSの先輩(ヒュム♀)が竜騎士でかっこよかったからだもんなぁ。
本命はナイトだったんだけど、彼女にあこがれて竜騎士もナイトと一緒にあげてます。やっとAFを切れる年頃になってきました。
その先輩といえば最近は狩人やってるそうです。
LSでいつも誰かに助けてもらっていた私もいまや、私もどちらかというと助ける側になっていたりします。
こうやって人の縁(えにし)はつながって、冒険者達を育てていくんだなぁ~と。

投稿者: Rikisan (2005/01/21 11:25:25)

こんにちは~

意外と俺、妄想竜騎士さんの小説風記事
大ファンです。

最後の
>「あの背中に、追いつきたかったんだ」
超いいフレーズですね~。
俺もいつか誰かに追いつきたいと思われるような
存在になりたいものです。

ま~、お笑いキャラなので無理だと思いますが・・・orz~

追伸:リンク貼らせて頂きました。まずかったらお知らせ下さい。

投稿者: しゃんでぃ (2005/01/21 13:47:35)

師が背中 高きを越ゆる 其の為に
  我が身全てを 槍に委ねて

私の、ヴァナ・ディールに生きる意味を綴った一句。(文法誤用等は容赦御免…)
私にも追いつき、追い抜きたい者が居ます。

私の場合の出会いは、バストゥークでした。
よく、共和国のBGMに迎えられると、初心者であった頃の記憶が、町の各所でフラッシュバックしてきますね。
噴水から観た夕焼けの美しさに、あの頃は何度もシャッターを切ったかな…

温かい気持ちを思い出しました。ありがとう。

投稿者: Qu (2005/01/21 16:34:07)

か、かっこいい・・・

自分が目指したものって何だろう、と初心に帰れました。
私の場合、具体的に誰かの背中というわけではないですけど、
やはり「こうなりたい」と思ってやっていたはずの部分が
どこか現実に流されて忘れていたりします。

うーん、いい話です。

投稿者: エフ (2005/01/21 17:26:35)

>キャプテンダルメルさん
二周目を捕まえるのもいい手かも(笑)。
でもレベルで追いついても追いつけてないんですよねぇ。

>リキさん
助けてくれた人に直接恩返しするのはなかなか難しかったりします。
そうこうしてるうちに引退していく人も・・・・。

>禿モさん
【むむむ】
なぜ私のPCがFMVであることを知っているんですか!?(笑)

>kzさん
もしFF11を始めてLSに入った時、現在の自分がLSにいたら。
一体どんな風に見えるのかな~と考えます。

>しゃんでぃさん
お笑いキャラだって大丈夫だと思いますよ(笑)。
リンクはご自由にどうぞ~。

>Quさん
私も、ウィンダスの音楽を聴くといろんなことを思い出します。
竜騎士をメインでがんばることはこれまで助けてくれた人たちへの恩返しの一つだと思ってます。

>エフさん
最近、自分の周りや巡回先の日記などで引退の話をよく耳にして、ちょっと寂しいです。
もし将来自分が去るとき、何人の記憶に残ってるのかなーなんて考えることも。

投稿者: 妄想竜騎士 (2005/01/23 1:15:51)

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