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2005.06.23

不撓不屈(FF11)

青空が見えた。
青く澄んだ、雲ひとつない青空。
遠くで鳥の鳴く声が聞こえる。
ほんのつい先ほどまで、ここで激しい死闘が繰り広げられていたなんて一体誰が信じられるだろうか。

トゥーリアを守る四神が一柱、青龍。
この強大な敵に私たちは初めて挑戦し、そして敗れた。
メンバー全員で自らの放てる最強の剣技と魔法を叩きつけた。
それは確かに、青龍に深手を与えていた。
だけどそれ以上の力を持って、私達は打ちのめされた。

完敗だった。

既に青龍は姿を消し、何とか生き延びた者があちこちで蘇生作業を始めている。
私は仰向けになって空を眺めながら、静かに敗北を噛み締めていた。

あんな化け物、本当に倒せるんだろうか?

青龍との戦いから2週間。
私は仲間達と共にイフリートの釜を訪れていた。

勝利を目指すには戦術を練り直すのも必要だが、
メンバー一人一人の戦力増強も必須といえる。
そしてその回答の一つが装備の充実。
強力な武具や、それらを合成するための素材を求めて大陸のあちこちを廻った。
ここにいないメンバーも、別の場所で同じ事をしている。

また、新たなメンバーの勧誘も行われているようだ。
今日、共に戦っているガルカ族のモンクも初めて見る顔だった。
一度は一線を退いていたが、リーダーに請われて再び戦場へと戻ってきたそうだ。
彼は、ついさっきトドメをさしたばかりの巨大な蠍の死体を調べている。

「残念ながら・・・はずれか」

この辺りに生息する蠍からは良質の素材が採れることがあるのだが、どうやら不発だったようだ。

「『水の眼』は入手できたし、どうする?」

そう言ってタルタルの黒魔道士が皆の顔を見回した時、
一人偵察に出ていたシーフから連絡が入った。

「いるぞ、Vouivreだ」

イフリートの釜を縄張りとする悪名高きドラゴン。
ワイバーンを狩る冒険者達にとって悪夢とも言われる存在だ。
これまで何人もの冒険者が犠牲になったという。

「よし、やろう」

嬉しそうに即座に言い放ったガルカを、私は信じられない思いで見つめた。

「ここにいる戦力で・・・勝てるのか?」
「いけるだろう、それに・・・
 だからこそ見えるものもある」

日没と共にVouivreとの戦いが始まった。
忍者が注意をひきつけ、シーフと戦士が背後から攻撃を繰り出す。
モンクと私とQiqiruは側面から牽制。
坂の上では、タルタル族の黒魔道士、白魔道士、召喚士が次々と呪文を詠唱している。
そして、エルバーンの詩人が一人戦場を走り回りながら様々な呪歌を演奏している。

渾身の力で突いた攻撃の感触に顔をしかめた。
両手が痺れている。
そしてなによりも・・・。

「再生能力か・・・なんて強力な」

なんとか与えた傷もたちどころに塞がってゆく。
その圧倒的な力と存在感は揺らぎもしない。
人間など及びもつかない化け物・・・。

オオオオオオォォォ

咆哮を上げ大きく翼を広げるその姿が、実際よりも巨大に見えた。

「青龍に敗れたばかりの私達に、本当に倒せるのか?」
「青龍を倒そうというのに、こいつに勝てなくてどうする?」

私の疑問を、ガルカは一言で切って捨てた。
確かに、それは正しいけれど・・・。

魔力の篭った咆哮により一瞬硬直した隙をつかれ、忍者が深手を負って膝をつく。
すかさず戦士が小山のような龍の背後に周り、注意を引きつける。
堅固な鎧に身を包んでいるとはいえ、まともに食らえばタルタル族の身体などひとたまりのないだろう。
決してまともに攻撃を受け止めず、小さな身体が縦横無尽に飛び回り龍の顎から逃れる。
やがて、魔法によって傷を癒された忍者が再び龍の前に立ちはだかった。

その時だった。
一瞬。
ほんの一瞬だが、目の前の龍に感情が現れたような気がした。
焦燥、畏怖、絶望・・・・。
私が感じていたものと全く同じものを感じた。

何故?
巨大で強靭な体躯と圧倒的な戦闘能力を持つ龍が。
何故小さな私達に対してそんな感情を抱くのか。

半日が過ぎても、戦いは続いていた。
これほど長時間敵と戦いつづけたのは初めての経験だった。
無限の体力を持っているかのようなドラゴンも、
明らかに消耗し、深手を負っていた。

あともう一撃。
そろそろトドメを、そう思った時だった。
突如翼を叩きつけるように羽ばたき、龍が突進した。
不意を突かれ、忍者が弾き飛ばされる。
龍の先には後衛の3人のタルタル。

「ちぃぃぃ!!・・・開け!力の門!」

叫び声と同時に、戦士の小さな身体から、輝く闘気が溢れる。
両手で振りかぶった斧で光の軌跡を描きながら龍に突進して行く。

イフリートの釜に、断末魔が響いた。

最後の瞬間。
召喚されたリヴァイアサンが龍の行く手を遮った。
至近距離でタイダルウェイブを食らい、
イフリートの釜に君臨したドラゴン、Vouivreはついに力尽きた。

振り上げた斧の下ろし場所を失った戦士は
奇声を上げながら近くにいたトカゲに八つ当たりしている。

息絶えたドラゴンを眺めながら唐突に気づいた。
そうか、私はとんでもない思い違いをしていたのか。

無尽蔵の体力と魔力を持つ化け物。
それは私達のことだ。

どんなに深手を受けても、全ての力を使い果たしても、
しばらくすれば立ち上がり、再び立ち向かっていく。

この諦めの悪さこそ、私達の最大の武器なのかもしれない。
だったら・・・・・青龍との戦いはまだ終わってないじゃないか。

「おーい、こっちにきてみろよ」

龍の亡骸を調べていたシーフが呼んでいる。
近寄ってみると、そこには一本の槍があった。
余計な装飾の類はまるで存在しない。
ただひたすら、敵に突き立つことだけを目的とするかのような無骨な槍。
穂先から石突まで、全てが吸い込まれそうな漆黒だった。
初めから存在を知っていたらしい、ガルカが満足そうに頷く。

「うむ、やはりあったか・・・ゲイボルグ」
「これが・・・」

ゲイボルグ、竜騎士なら知らぬものはいないだろう。

「好きに使え」
「・・・本気?」

私の肩を叩きながら去っていったガルカに反射的に聞き返してしまった。

ゲイボルグ。
血塗られた魔槍。
その比類なき力は、やがて使い手すら滅ぼすという。

だが、力を得るということはそういうことだろう。
より強い力を得れば、より強い力と相対することになる。

自分にこの槍を振るう資格があるのか。
いや、違う。
必要なのは資格じゃない。
覚悟だ。
その覚悟が自分にあるのか。

夜は、いつのまにか明けていた。

青龍と初めて戦ってから1ヶ月が過ぎた。
再びトゥーリアに集まった仲間達。
新たに加わった仲間がいる。
新たな装備に身を包んだ者がいる。

「さぁ・・・この前の続きを始めようか」

私は仲間と共に輝くゲートへと飛び込んだ。
漆黒の槍を、その手に携えて。

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コメント

いつ読んでも妄想さんのお話は面白いですわ・・・
今日も読み入ってしまいやしたぜ
そしてゲイボ入手オメデトー(*'-')

投稿者: エロ竜 (2005/06/23 23:29:16)

毎度ながら、妄想戦記カッコイイですねー
今回はガルモンクが主役を食ってますね。渋いなぁガルモ。
来る青龍再戦では…

『俺達は1人じゃない!俺達は…1つだーっ!!
                青龍…光になれーっ!』

って、死闘の末に大車輪〆で討ち倒してくれるんでしょうね
(自己完結)
ともあれ、ゲイボ取得おめでとうございます!
自分は1度挑んで敗退し、まだ手に出来ない槍です。
未だに魚人の師匠から受け継いだコロッサルで頑張ってます

投稿者: kz (2005/06/24 2:35:48)

すいません、実は今回の話は2004年9月8日にエントリーした
「伝説の魔槍」を書き直したものだったりします。
数日前に青龍初挑戦して敗退してたり、
LSメンがあちこちに散ってハクタクの眼集めしてたり、
かまえるガルモンクが参加してきたり、
タル戦士がマイティ発動したらフロウで敵沈んだり、
概ね事実です。

後衛がサポシだったりライフベルト装備だったのは表現できませんでした。
無念です。

あと大車輪をスカった部分は執筆者特権で削除しましt

投稿者: 妄想竜騎士 (2005/06/24 10:38:12)

とりあえず一言…

ぇー(´д`)

いやまあ、過去ログ見てなかった自分が悪いんですがorz
面白かったので良しですw

投稿者: kz (2005/06/25 1:03:44)

ちょ、ちょっ、まて、あやつらはそんなカッコいいキャラじゃねえええええええー

投稿者: あかま (2005/06/25 11:53:59)

>kzさん
元記事にリンク張ればよかったかなぁとか、
過去であることを書くべきだったかなぁとか。
リアルタイムじゃない場合にどうしようかと悩んでます。

>あかまさん
実際のキャラクターを表現するには私の技術が足りません!

投稿者: 妄想竜騎士 (2005/06/27 10:15:40)

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