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2010.02.08

STF仮想捜査班(FF11)

※実在の人物・団体は一切関係ありません。
登場人物の名前は全て海外ドラマ(CSI)の登場人物の名前をそのまま使っています。
 
 
 
「最近、高額な装備をいくつか購入されていますね」
「えっと・・・どれでしょうか・・・いろいろあって・・・」

モグハウスの扉を開き、突然の訪問者を応対しながら男は嫌な汗をかいていた。
知り合いしかやってくることはないと思い込んでいたところにいきなり捜査令状を突き付けられたのだ。
目の前の女性は、STF捜査官のサラと名乗った。

「その購入資金について質問させて頂きたいのですが」
「ああ、その・・・それは・・・」
「部屋の中をあらためさせてもらいます」
「そ、それは!今凄く散らかってて!自分でも何がどこにあるのか!」
「なるほど。そういうことでしたらご心配なく。こちらで整頓のプロを手配させていただきます。GMの執行部隊から・・・10名程で足りますよね?」

男の表情がこれ以上ないくらいひきつる。
恐らく、陽炎立ち昇る赤鎧の集団が列を成して押し寄せる光景が脳裏に浮かんだのだろう。 
 
 
 
「それで?何か出たのか」
「お金についてはビンゴ。ジュノ郊外で貰ったみたい。接触してきた男の名前をシグネットにかけてみたらヒットしたけど、先週冒険者になったばかりね」

サラは三課のフロアで主任のグリッソムに報告していた。
どんな風来坊でも、この世界で活動している限りどこかに痕跡が残る。
冒険者がいくら国に縛られないといっても、活動地の国家や団体に自身を登録しなければまともに活動できないのが現実だ。
モグハウスや競売、宅配といったサービスは全て登録済み冒険者でしか利用できない。
アウトローの手綱をなんとか捕まえようと苦労を重ねた各国の工夫である。

「商品の方に問題はなし。出品した職人に確認済みよ」
「見つかるのは使い捨ての素人ばかりか。・・・それでいこう」
「どれ?」
「・・・素人を探す」

クリスタル戦争以降に世界中に広まった「冒険者」たち。
「冒険者」とは役職でもなければ職業でもない。
彼らは特定の国家にもギルドにも縛られない。
一言で表すならばそれは「生き様」とでも言うべきだろうか。
各々一人一人が自ら定めた法に従って生きている。
その多様性が様々な組織との利害と一致し、活動しているわけだが、一歩間違えれば無法者の集団である。
だが既存の組織に彼らを取り締まる力も権限もない。

そこで誕生したのがSTF:スペシャルタスクフォースである。
国家とは政治的にも軍事的にも完全に独立した捜査機関であり、冒険者に関連する様々な事柄に介入する権限を持つ。

STFが捜査対象とするのは特殊な「不正行為」である。
その中でもSTF三課は金銭の動きについて担当していた。

「お疲れさん!ほらよアイアンパン」
「またですか・・・違うものもお願いしますよ」
「何言ってんだ。バスに来たらこれだろう」

ニックが持ってきた差し入れを受け取りながら、グレッグは通りの反対側の家屋を観察する。

「ほんとうに誰か来るんですかねぇ」

三日前。
ニックとグレッグはグリッソムから張り込みの指示を受けていた。
テーブル上に並べられた複数の地図へいくつもの赤印が付けられていく。

「これが拠点の疑いのある場所だ。28箇所ある」

グリッソムが課内のメンバーを見回すと、グレッグが手を挙げた。

「どうやって、その中から特定するんです?」
「一つ一つ、実際に監視をする」
「これ・・全部ですか・・・?」
「まずはバスにあるこの二箇所だ。二週間動きがなければまた別の二箇所だ」
 
 
 
「・・・アタリですね!ラッキーだ」

夜中になり、監視対象の家屋に人が集まり始めていた。
全員、最近冒険者始めました、と言わんばかりの風体だ。

「単なるラッキーなわけないだろ」
「え?」
「主任が実際に自分の足で回って、確率が高いと判断したのが今回の二箇所だ。何の根拠もないわけじゃない。さぁ応援が到着次第突入するぞ」

制圧は一瞬で完了した。
集まっていた人間が全員素人だったからだ。
連行は応援に来た他のメンバーに任せ、二人は家の中を捜索する。
数千万の現金、素材、宝石、そして・・・リンクシェル。
早速グレッグが解析し、所属メンバーを調査する。

「あす・・で?ふ、が・・・えーと、名前の読み方が見当もつかないや」
「そんなことはどうでもいいんだよ」
「ありました。これです」

シェルを作った人間と、サック持ちを確認。
本部に伝えると、すぐに結果が返ってきた。
どれも身元の辿れる冒険者だった。
しかし。

「随分前に全員出国してるな。そして行方不明」
「報酬貰って高飛びですかね。今頃は・・・」
「この世にいない」

判明した身元から辿ったサンドリアのモグハウス。
ニック達が訪問すると、当然そこはすでに引き払われ、新たな人物が住んでいた。

「ええと、どこにやったかなぁ」

引っ越してきた時のことを尋ねたところ、部屋に残っていたものを保存していたとのことだった。

「だって、勝手に捨てちゃ悪いでしょう?」

二人は顔を見合わせると苦笑した。
お互い「オレだったらとっとと捨てる」と顔に書いてある。

「あったあった。この箱の中に全部まとめてあります」
「お預かりします」
 
 
 
「どうだ?グレッグ」

本部に戻り、押収した荷物を分析している部屋にグリッソムが入ってきた。

「パールは割れちゃってて情報が引き出せなかったんですけど。LS名で過去のファイルを洗ったら、コレがヒットしました」
「アビタウ神殿でトラブルか」
「ええ、ウルリクムミの不当占有ですね」
「5年前ということは、時期的にメンバーは本物の冒険者だと思うんだがな」

街の近くでバザーをするだけならともかく、当時空に上がっているからにはそれなりの腕前があったはずだ。

「それから、こんなものが」
「メッセージカード・・・宛先は?」
「さっきサラが向かいました」
 
 
 
メッセージカードに書かれていたのは知人への連絡だった。
早速その知人の元へと訪れたサラは、当時の状況について尋ねた。
急に疎遠になり、知らない人たちと付き合うようになったこと、
そしてその付き合うようになった相手の名前がわかった。

屋敷の包囲が完全になったことを確認すると、ジムは全員に合図を送った。
行方不明の冒険者たちを勧誘した者たち。
少なくともそのうちの一人がこの屋敷にいるはずだ。
静かにドアの前まで移動すると、蹴破って一気に突入する。

「STFだ。全員その場で」
「やべぇ!逃げ・・・」
「バインガ」

裏口や窓から逃げ出そうとした者達がまとめて魔法で縫い付けられる。
だが部屋の奥にいた数人は、全く異なる場所へと逃走していた。
それは地面の下だった。

「違法な移動行為を確認。ターゲットの強制隔離を申請」
「本部、了解」
「・・・では諸君、ゆっくり話を聞かせてもらおうか」

逃走した男達の対応は本部に任せ、ジムはゆっくりと振り返り、いまだ魔法の拘束を受ける者達を見回した。

屋敷から脱出した人間はその時点で三課の管轄を外れた。
より重大な意味で。
 
 
 
男達は地面の下を走っていた。
といっても地下通路ではない。
文字通り地面の中を移動していた。
無論、通常の手段で行える行為ではない。
そして三人は同時に広い空間に飛び出した。
突然の事態に動揺を隠せない彼らの前に現れた赤鎧の男が悠然と歓迎のポーズを見せる。
「ようこそ、モルディオン監獄へ」

薄暗い部屋の中に、6人の人間が集まっていた。

「今回はずいぶん手酷くやられました。先月の稼ぎが根こそぎです」
「後始末は大丈夫だろうね?」
「捕まった者から辿れる可能性のある線は全て切りました」
「おかげで今月の稼ぎもパァだ」

「さして問題あるまい」
「うむ、またすぐに集まる」
「金も」
「人も」

「では、仕事に戻ろうか」

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コメント

アンパンで、ちょっと前の銀魂おもいだしt

投稿者: 戦死 (2010/02/08 9:05:17)

Miamiに絶賛はまり中の私の中では、
ホレイショたちの声が聞こえてきました(´∀`)
#あ、はじめまして。
#BLOGはずっと拝見しておりましたー
#CSIと聞いて思わず初コメを(><)

投稿者: イワン (2010/02/08 10:46:33)

凄い文章構成力・・・。
読むだけで、その場の状況が想像できました。
また、機会があれば何か書いてください!w

投稿者: ペルタ (2010/02/08 13:17:27)

>戦死さん
愛アンパンと勇気アンパンですね。

>イワンさん
実はマイアミだけ見たことないのです・・・。
CMでホレイショの声は聞いてるんですけどね~。

>ペルタさん
しかし省略しすぎて情景が全く描写されてなくて、ああ短くまとめるのって難しいなぁと痛感。

投稿者: 妄想竜騎士 (2010/02/08 23:09:32)

シグNetか。
そんな意味も含まれていたとは...

妄想ストーリー相変わらず冴え渡ってますね。
どれも好きです。

投稿者: しゃり (2010/02/11 18:33:57)

コーディスにかけろ!的な使い方です。
実際のトコ、どこまでプライバシー握られてるんですかね、シグネットって。

投稿者: 妄想竜騎士 (2010/02/14 16:55:22)

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