2007.04.26
リンバス部(FF11)
機船航路からも飛空艇航路からも外れた洋上に、一隻の船が停泊していた。
国旗も紋章もなく、どこの所属なのかはわからない。
マウラ-セルビナ航路で使われているものより二回りは大きな機船だ。
漆黒の船体を闇夜に溶かし、よほど近くまで接近しなければその存在に気づくことはできないだろう。
船上には二人の人影があった。
一人はタルタル族の女。
髪をツインテールにし、真っ赤な鎧を身に着けている。
見る者が見れば、それが近東で「英雄」の名を冠する甲冑であることがわかるだろう。
それはこの船を預かる長であり、遂行中の作戦の指揮官でもあることを示していた。
彼女の一歩後ろに立っているのは黒装束のガルカだった。
その姿と腰に下げた二本の片手刀から、忍の術を使う者であることがわかる。
彼は先ほどから、作戦状況について報告を続けていた。
「交霊塔については、現在一階、二階を制圧。
調査班が三階への侵入方法を解析中だ」
「恐らく他のフロアの侵入方法と同様のはずだ。急がせろ」
「うむ。次に、"奈落"の方だが・・・」
ガルカが何か言いかけた時、駆け上がる足音と共に若い男が甲板へと上がってきた。
「失礼します!隊長、副長、すぐに指揮所へお戻りください!」
「どうした」
「"奈落"調査中の部隊に異常事態です」
■
「状況は」
「隊長!」
二人が船内の指揮所に入ると、騒然とした雰囲気の中、クルーが慌しく事態への対応を始めていた。
室内を横切っていく、隊長と呼ばれたタルタルに向けて報告がなされる。
「"奈落"調査中の第三アライアンス15名。コールサイン・ウインディ。応答なし」
「エリア確定不能。なお降下中。まもなく第四深度を突破します」
オペレーターにガルカが指示を返す。
「サックはどうだ。繋がらないのか」
「駄目です。サック、パールともに応答ありません」
報告を聞きながら指揮所中央、所定の位置に着いた指揮官が目の前に浮かぶ地図を睨みながら声を発した。
「現在"奈落"に展開している部隊はどうなっている」
「第二アライアンス・ウォーティがエリアNEの五層を攻略中。
また、交霊塔突入予定の第五アライアンス・グロウが"都市"を移動中です」
「よし、グロウを"奈落"に向かわせろ。ウォーティにも待機命令を出せ」
「了解」
「ウインディ第五深度に到達。なお降下中。以前応答無し」
「・・・このままだと・・・"虚ろ"に取り込まれるぞ・・・」
ガルカの声に、何人かのクルーが恐ろしいものでも見たかのような目つきで振り返った。
これまで調査してきた"奈落"のエリアは層状になっており、
それらを一層一層攻略しながらより下層へと進んできた。
しかし今、ウインディはそれら一切の層を無視して「落下」している。
現在までもっとも深いと思われていたのは第五層。
これより深くへ潜る方法はまだ見つかっていなかった。
平面状の座標もこれまで"奈落"が確認されていない場所だ。
「・・・やはり、中央の空白地点にエリアが・・・?」
そう、赤い甲冑の指揮官が呟いた時、ノイズと共に声が聞こえてきた。
「・・・ちら、ウインディ01。こちらウインディ01、聞こえるか」
「ウインディから反応がありました!」
「ウインディ01、状況を報告せよ」
「部隊に損耗無し。全員無事だ。だがここは・・・・」
指揮所の全員がひとまず安堵しながら、次の言葉を待つ。
「見たこともないエリアだ・・・。現在位置不明。指示を乞う」
「対策を協議中。待機せよ」
ウインディの位置は、これまでにない深度を記録している。
明らかに今までの"奈落"とは違う。
自然、指揮所内全員の視線は、厳しい表情で腕を組む隊長に注がれていた。
その時だった。
「・・・あれは・・・なんだ!!」
「ウインディ01、どうした?」
リンクシェルに切迫した声が響いた。
「こいつは・・・・まさか・・・!」
「ウインディ01、詳細を報告せよ」
「まずい!動き出した!下がれ下がれ!」
「ウインディ01!何が起こっている!」
「こちらウインディ03、フロア中央に巨大なアンノウンを発見!
現在攻撃を受けている!」
「ウインディ03、アンノウンの情報を報告せよ」
「四足の機械的なモンスターだ!
恐らく古代王国時代に作られた兵器と思われる!」
指揮所に衝撃が走る。
"奈落"にしろ交霊塔にしろ、今まで完全に未知の敵は確認されていない。
スイーパーやクリーナーといった、古代王国の兵器は存在したが、
どれも地上に現存するものと同系統だった。
動揺の広がる指揮所内に、隊長の声が響き渡った。
「CaptureCommandを発動!!
戦術班に緊急招集をかけろ!!
ウインディは戦線維持が最優先!攻撃は控えさせろ!」
「了解!」
部下達が一斉に自分の仕事に取り掛かるのを見ながら、
彼女は傍らの副長にだけ聞こえる声で呼びかけた。
「・・・副長」
「ああ・・・」
今や船全体にまで緊張が伝わる中、たった二人だけが口元に笑みを浮かべていた。
「皇国に連絡だ。・・・目的のモノを見つけた、とな」
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2007.04.05
チームドラグーン2(FF11)
「ゴーーーーール!!」
強烈なシュートがネットを揺らす。
雲生、雲次兄弟の連携で2点目が決まった。
座り込みたくなるのを抑えて、その光景を見つめる。
俺は名前はスパイクネックレス。
チームドラグーンのneckプレイヤーだ。
今日の試合は、自分にとって特別な意味を持っている。
リーグ戦の行方に影響しないとしても、
なんとしても勝っておきたい試合だ。
チームドラグーン VS チームニンジャ最終戦。
試合開始直後、相手守備陣形がまだ整っていないのを見て取った
バローネコッシャレが前線へ超ロングパス。
アンゴンからのセンタリングにメザラクがダイレクトに合わせて先制点を奪った。
しかしこちらの攻勢はここまでだった。
攻撃は空回りし、相手の早い攻撃に対応できない。
「これ以上、点はやれないぞ!」
悲壮感すら漂い始めたチームメイトに叫ぶ。
相手は守備力も超一流だ、そうそう点は取れない。
ふとベンチを見ると、監督と目が合った。
試合前のやり取りが思い出される。
「来期、剣侠の首鎖を獲得することが決まった」
事務所でそう切り出された。
「君のこれまでの功績は充分理解しているつもりだ。
フロントはヘッドコーチの椅子を用意している」
時代は変わった。
ツートップ全盛の中、頑なにワントップで戦う我がチームとはいえ、
ヘイストやストアTPをいった能力を持つ選手を重用するのは必然だろう。
特に感慨はなかった。
十分予想していたことだ。
今日の対戦相手はチームニンジャ。
・・・・現役最後の相手にはふさわしいかもしれない。
「スパイクネックレス!!」
仲間の声に現実に戻る。
死角から衝撃を食らい、なすすべもなく倒される。
ピピー!
すかさず笛が鳴り響き、審判が駆け寄ってくる。
激しいタックルで俺を倒した相手を見た。
それはチームニンジャの同じneckプレイヤー。
クジャクの護符。
華麗なフィールディングを身上とする男が見せた激しいプレイに観客がどよめいている。
「試合中に考え事か?そんなことだから若手にポジションを脅かされるんだ」
あげく、そんな台詞を言い放った。
「ふん・・何とでも言え。時代は常に動いているんだ。
有望な若手が現れれば、老兵は去るのみだ」
「有望な若手?笑わせるな、いつから貴様はそんなに物判りがよくなった。
なるほど・・・・確かに引退が妥当かもしれん」
「・・・・っ!!」
痛烈な言葉が突き刺さる。
思い起こせば、いつもコイツは俺の前にいた。
Jeunoリーグ時代、クジャクの護符のデビュー戦で俺は完敗を喫した。
それまでの自信を粉砕された一戦だった。
それ以来、俺は必死に追いかけた。
世間的な評価は比べるべくもない。
年棒も3桁は違う。
だが、それでも。
自分が奴より下だとは、決して思わなかった。
「初めて対戦した時のことを覚えているか?」
「なに?」
唐突にかけられた声に思わず顔を上げる。
奴はすでにこちらを見ることなく、守備に戻ろうとしていた。
「俺は、一時たりとも自分が上だなどと思ったことはない・・・!」
クジャクの護符が搾り出したその言葉は、先ほどのタックルなど
比較にならない強さで、俺の心に衝撃を与えていた。
仲間が駆け寄り、声をかけてくる
「大丈夫か!?」
ああ、大丈夫だ。
どうやら、自分でも気づかないうちに大事なコトを忘れていたらしい。
「2-1か、上等じゃないか。・・・・取り返すぞお前ら!」
■
サポーター達の歓声を聞きながら、もうずっと昔のデビュー戦を思い出していた。
見事な勝利で終わったその試合、
睨み付けてくる相手チームのneckのことを鮮明に覚えている。
最後の最後まで食らいついてきたその選手を俺は全力で叩き潰した。
自分に対してこんなにも感情的に向かってくる相手は初めてだった。
彼の名はスパイクネックレス。
同じ若手の、同じポジションということで、それ以降ずっと比較され続けることになった。
別にお互い嫌っていたわけではない。
「次は必ずぶッ倒してやる」
そうやってムキになる彼を涼しい顔で受け流す。
それが俺たちにとっての日常だっただけだ。
しかしわかりやすい対比は、スポーツ紙で不仲と報じられ、試合以外で話題にもなった。
長い選手生活の中で、より多くの人の共感を得ていたのは彼の方だったろう。
彼は多くのファンに愛されていた。
それは、年棒などより遥かに重要なステータスではないか。
試合が終わると、フィールドでスパイクネックレスが歩み寄ってきた。
「このチームでお前と戦うのは、これが最後だろう。
来期、チームは契約を結ばない方針のようだ」
「・・・そうか」
「ここ以外にも、まだ戦える場所はあるはずだ。
別にAhtUrhganリーグじゃなくてもいい。
またいつか・・・フィールドで逢おう・・・!」
それは決別ではなく、再戦の約束。
晴れやかな顔で去っていくその足取りは力強く、迷いなど微塵もない。
その背中に、静かに言葉を贈る。
「それでこそ、俺が尊敬するneckプレイヤーだ」
■
CAST
スパイクネックレス:
STR+3 DEX+3 MND-6, Lv21~
クジャクの護符:
耐闇-10 命中+10 飛命+10 Lv33~
雲生:
D31 隔201 STR+3 DEX+3 VIT-1 モクシャ+1 Lv71~
雲次:
D32 隔201 STR+2 DEX+4 AGI-1 モクシャ+1 Lv72~
2007 04 05 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (9) | トラックバック
2007.03.28
受験でよく出る某新聞の天の声風(FF11)
竜騎士のランスの使い方は間違っているという主張を良く聞く。
ジャンプが騎乗からのチャージの代わりというのはわかるが、
通常攻撃のモーションがあまりにぞんざいではないかというのである。
確かに、刃のないランスの取り扱いとして違和感を覚える人は多いだろう。
しかしちょっと待って欲しい。
現実世界のランスの運用方法と比較して結論を出すのは早計に過ぎないか。
現実とヴァナディールの世界法則の違いを考慮していないのではないか。
ランスは槍よりも長大で、騎乗で構えてすれ違いざまに突くのが基本だ。
現実世界における剣や槍のダメージソースは運動エネルギーだ。
馬で突撃することで発生した大きなエネルギーを
一点に集中することで攻撃力を高めたのがランスだ。
だから地上に立って、その場で相手と打ち合うのは間違いと主張できるのであろうか?
それはいかがなものか。
ヴァナディールは剣と魔法の世界だ。
勿論現実と同様運動エネルギーは重要なファクターではあろう。
しかし魔法的なエネルギーを無視することはできない。
例えば大車輪という技がある。
いかなる神秘によるものか、この技は対象の装甲をある程度無効化してしまう。
現実世界では馬に乗り助走をつけることで堅い鎧を貫いていたのと
まさしく同じことを、気力を高めることで実現しているのだ。
タイミングによっては爆発(核熱)まで起きる。
ダメージソースとして、間合いを開いて遠くから走りこむことで
運動エネルギーを高めずとも、技を以って魔法的エネルギーを発生させる方法が
ヴァナディール世界には存在するのである。
ならば戦い方が現実世界と異なる進化を遂げるのは必然ではなかろうか。
魔道士の魔法の存在を肯定するならば、ランスに篭められた魔法的効果も肯定すべきである。
浮いてる壷に足払いをしても効果はあるのである。
今こそ冷静な議論が求められる。
2007 03 28 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック
2006.05.31
チームドラグーン(FF11)
5%という数字は消費税を連想する、唐突に呟いた僕に
「3%という数字もかつては消費税の代名詞だったな」
と不機嫌そうにブルタルピアスは言い返した。
ふむ、そういえばそうだった。
頷きながら、僕はウェイトトレーニングの手を休めた。
僕の名前はホマムガンビエラ。
今期からチームドラグーンに所属している。
ボジションはfeet。
チーム唯一のヘイスト持ちとして期待されている。
ブルタルピアスは同期だ。
他にフォーレージマント、ラジャスリングがいる。
僕達は世間でプロマシア第二世代と呼ばれている。
正確にはもう一人、同期メンバーがいるのだが少し特殊だ。
名前はDCブレー+1。
かつて一時代を築いたlegsだ。
引退し、長く実戦から離れていたが、命中+9、飛竜HP+15%という
恐るべき数値をもって現役復帰を果たした。
その血のにじむような努力は誰もが理解し、認めている。
だけど、それで即レギュラーが保証されるほどこの世界は甘くはない。
特に、DCブレー+1さんと同じポジションにはバローネコッシャレさんがいる。
プロマシア第一世代を代表する不動のlegs。
「お前ら、随分と早いな」
トレーニングルームに、男が入ってきた。
僕とブルタルピアスは慌てて立ち上がり、挨拶をする。
小柄な体格をしているが、その正体はチーム最古参のベテランプレイヤー。
スパイクネックレス。
ジュノリーグ昇格当時から第一線で活躍する、neckプレイヤーだ
多くのライバル達を抑えて今尚レギュラーを張り続ける姿は、
チームメイト全員の尊敬を集めている。
新人歓迎会の時、彼と話す機会があった。
僕達の若さと能力を喜びながらも
「俺も少しチームに長く留まり過ぎたかな・・・」
鉄人の呟いた一言は僕を驚かせた。
「剣侠の首鎖・・・・噂くらいは聞いているだろう」
「たしか、最近世間を騒がせているアトルガン世代のneck・・・」
「STR+3 命中+5 ストアTP+1・・・・クックック、俺もそろそろ引退かな」
「スパイクネックレスさん・・・・」
世代交代、それは努力も経験も関係なく冷酷に適用される。
同期のフォーレージマントがレギュラーを勝ち取った時も、
その裏でベテランbackのアメミットマントさんが静かにチームを去った。
彼は移籍先を探したが見つからず、引退した。
「故郷で畑でも耕すよ」
そう言って宿舎を出て行く彼の背中を僕は忘れない。
いつ自分の身に訪れるかわからないのだ。
エクレア待遇など何の保証にもならない。
レギュラー争いは厳しい。
ほんの小さな数値の差が、紙一重で優劣を決定する。
チームの中で自分にしかできない仕事がある、それはとても重要なことだ。
5%って結構大きいよな、再び呟いた僕に
「3%の消費税ですら、子供の財布には絶望的だったよ」
と不機嫌そうにブルタルピアスは言い返した。
ふむ、そういえばそうだった。
頷きながら、僕はウェイトトレーニングを再開した。
■
cast
ホマムガンビエラ:
防16 HP+31 MP+31 命中+6 飛命+6 ヘイスト+3% 飛竜:HP+50 Lv75~
ブルタルピアス:
ダブルアタック効果アップ(5%?) ストアTP+1 Lv75~
ラジャスリング:
STR+2~5 DEX+2~5 ストアTP+5 モクシャ+5 Lv30~
フォーレージマント:
防7 STR+3 攻+15 Lv71~
アメミットマント:
防7 STR+1 攻+10 飛攻+10 Lv61~
DCブレー+1:
防32 HP+15 命中+9 エンシェントサークル効果アップ 飛竜:HP+15% Lv74~
バローネコッシャレ
防32 STR+2 攻+6 敵対心+1 ジャンプ時TPボーナス Lv70~
スパイクネックレス:
STR+3 DEX+3 MND-6, Lv21~
剣侠の首鎖:
防4 STR+3 命中+5 ストアTP+1 Lv60~
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2006.01.24
竜騎士ドキュメント
竜騎士の朝は早い。
日が昇る前に起床、エルパラシオンさんは愛竜アストルを呼び出す。
エルパラシオンさんは飛竜と共に戦う、竜騎士だ。
騎士として、また一人の人間として王からの信頼も高いという。
彼が竜騎士の免許皆伝を受けたのは16歳の時だった。
あの日からずっと、竜騎士一筋の人生だった。
エルパラシオンさんのように飛竜を駆って戦う竜騎士は、後継者不足もあって少なくなる一方だ。
「王国で竜剣を使えるのは、もう自分だけになってしまった」
彼は寂しそうに呟く。
私はエルパラシオンさんの家に向かった。
家では友人が串焼きを準備して待っていた。
その日は酒を飲み交わしながら、竜騎士の魅力や、苦労について語り合った。
エルパラシオンさんは最近、旅に出たいと思っているという。
戦乱が、飛竜に良くない影響を及ぼすというのだ。
アストルと共に静かに暮らしたい。
エルパラシオンさんの表情に、深い苦悩が見て取れた。
翌朝、物音で目が覚めた。
王命により、遠征を命じられたとのことだった。
彼は木彫りのハヤブサに長い時間祈りを捧げていた。
出立の準備は短かった。
戦いに必要なものは、すでにほとんど用意してあった。
外に出て口笛を吹くと、アストルがすぐさま現れた。
「頼むぞ」
そういって飛竜を撫でるエルパラシオンさん。
そこには飛竜への深い愛情が感じられた。
昨夜、彼は目を輝かせながら一つの夢を語ってくれた。
この国でただ一匹の飛竜となったアストル。
彼に仲間を作ってあげたい。
アストルが仲間達と自由に空を飛びまわる。
そんな姿を見てみたいと。
朝靄の中王城へと向かう竜騎士の背中を、私は見えなくなるまで見送った。
彼の夢が、いつの日かかなうことを祈って。
2006 01 24 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック
2005.12.02
超必殺技伝授(FF11)
ヴァナディールトリビューンによると。
ラストドラグーン・エルパラシオンの経歴は
「次々と技を習得し、わずか16で奥儀「竜剣」を伝授されて免許皆伝を得た。」
だそうです。
私はレベル75にもなっていまだに竜剣を使えません!!
才能がないのでしょうか!!
■
「なぜエルパラシオンがいまだにラストドラグーンと呼ばれるかわかるか」
「・・・?」
「現在いる竜騎士は真の意味で竜騎士ではないからだ」
「なんだと!」
「確かにお前も随分と腕を上げた。槍の腕前だけならば
ラストドラグーンと比べて遜色ないかもしれん」
「ならば何故!」
「今のままではお前は真の竜騎士にはなれん!なれん理由があるのだ!」
「どういうことだ・・・・」
「本来竜騎士は奥義・竜剣を伝授されて初めて竜騎士を名乗ることができる・・・」
<ピアノSE>
「竜・・・・剣・・・・」
「だが竜剣の技はラストドラグーンと共に歴史から姿を消した・・・。
竜剣を使えるものはもはやどこにもいないのだよ」
「何か・・・何か方法はないのか!竜剣に繋がるヒントは!」
「・・・・一つだけ、可能性が」
「なんでもいい!教えてくれ!」
「ウルガラン山脈へ行くがいい」
「ウルガラン?」
「かの山脈にいるという伝説の真龍を倒すことができれば、あるいは」
無理でs
2005 12 02 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック
2005.07.05
裏の仕事(FF11)
この世ならざる地、デュナミス。
その中でも強力な結界に閉ざされしザルカバード。
私は、数十人の仲間と共にこの地を開放すべく侵攻作戦に参加していた。
「よし、捕まえたぞ!」
「一匹そっちに行った!」
「下がれ下がれ!」
「頭を抑えた!後ろを頼む!」
リンクパールを通して、激戦の様子が伝わってくる。
厳しい戦況を感じ取りながら、しかし私は今じっと雪原に身を潜めている。
強力な闇の結界を突破して侵入には成功したが
あまり長い時間この世界に留まることはできない。
恐らく半日もたたずに元の世界に放逐されるだろう。
一匹一匹が計り知れない強さを持つデーモン達。
そんな化け物を排除していくつもの砦を攻略しなければならない。
それは数十人の冒険者を以ってしても遅々としたものだ。
とても半日程度でなんとかできるものではない。
しかし、この世界の力を形成する石像を破壊すれば、
我々を排出しようとする力に対抗できることをこれまでの経験で知っていた。
砦を攻略するのと同時に誰かが石像を破壊しなければならない。
たまたまその役目に私が選ばれただけだ。
竜騎士、暗黒騎士、シーフ、黒魔道士、吟遊詩人。
たった8人による石像破壊部隊。
なかなか燃える状況じゃないか。
今、高台から見下ろす先には数十という数のデーモンとアーリマンが隊列を組んでいる。
勿論まともに戦える数ではない。
普段、仲間の盾となり攻撃を受ける役割の者達は全員、砦攻略の本隊にいるのだ。
軽装の8人では1匹相手でも危険極まりない。
我々の目的は、隊列の最後尾に立つ一体の石像。
あれさえ破壊できれば、他のデーモンなど相手にする必要はない。
隊長と2人で、身を低くしながら慎重にデーモン達に近づいていく。
身を伏せたまま無言で合図を交わす。
- GO!! -
隊長が低い体勢から一気に坂を駆け下りる。
雪を巻き上げて走り抜ける。
その様子を仲間達とじっと見つめる。
あと少し。もうすぐデーモンの感知範囲・・・。
-反応した!-
デーモン達が目の前を駆け抜ける人間を感知し、一斉に動き出す。
同時に、私も敵後方へと走り出していた。
目標の石像からは視線を離さない。
鈍重な動きで、隊長が走り去った方向へ動き出した石像の前に飛び出した。
無機物としか思えない質感のソレが、光沢のない瞳で私を見た気がした。
「来な、パーティ会場までエスコートしてやるよ!」
言葉が通じるなんて思っていないが、自らを鼓舞するためにあえて声に出して挑発する。
ゴッ!
巨大な拳が雪原をえぐる。
-食いついた!-
背筋の凍りそうな一撃をなんとかかわし、私はそのまま降りてきた坂を駆け上った。
仲間達が一斉に呪文詠唱を始めている。
高台の上に滑り込みそのままの体勢で、背後を確認すると
雷光と衝撃が走り、ピタリと動きを止めた石像が崩れ落ちていった。
「・・・よし!」
思わず声が漏れた。
「全ての標的の破壊を確認。これより本隊に合流する」
「早く来てくれ!こっちの状況はかなりヤバイ!」
急いだ方が良さそうだ。
任務成功の喜びに浸る余裕などない。
すぐさま移動しなければ。
「待て!」
暗黒騎士が制止の声を上げ、皆が振り返る。
「追加のお客さんだ」
「・・・ちくしょう・・・」
ここはデュナミス。人の力が及ばぬ世界。
やはりそう上手く事は運ばないか。
目の前に、一匹のアーリマンが迫っていた。
「本隊へ。・・・・合流は少し遅れそうだ」
さぁ、早速だが次の任務だ。
あらゆる障害は実力を以って排除し、本隊に合流せよ!
2005 07 05 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック
2005.06.23
不撓不屈(FF11)
青空が見えた。
青く澄んだ、雲ひとつない青空。
遠くで鳥の鳴く声が聞こえる。
ほんのつい先ほどまで、ここで激しい死闘が繰り広げられていたなんて一体誰が信じられるだろうか。
トゥーリアを守る四神が一柱、青龍。
この強大な敵に私たちは初めて挑戦し、そして敗れた。
メンバー全員で自らの放てる最強の剣技と魔法を叩きつけた。
それは確かに、青龍に深手を与えていた。
だけどそれ以上の力を持って、私達は打ちのめされた。
完敗だった。
既に青龍は姿を消し、何とか生き延びた者があちこちで蘇生作業を始めている。
私は仰向けになって空を眺めながら、静かに敗北を噛み締めていた。
あんな化け物、本当に倒せるんだろうか?
■
青龍との戦いから2週間。
私は仲間達と共にイフリートの釜を訪れていた。
勝利を目指すには戦術を練り直すのも必要だが、
メンバー一人一人の戦力増強も必須といえる。
そしてその回答の一つが装備の充実。
強力な武具や、それらを合成するための素材を求めて大陸のあちこちを廻った。
ここにいないメンバーも、別の場所で同じ事をしている。
また、新たなメンバーの勧誘も行われているようだ。
今日、共に戦っているガルカ族のモンクも初めて見る顔だった。
一度は一線を退いていたが、リーダーに請われて再び戦場へと戻ってきたそうだ。
彼は、ついさっきトドメをさしたばかりの巨大な蠍の死体を調べている。
「残念ながら・・・はずれか」
この辺りに生息する蠍からは良質の素材が採れることがあるのだが、どうやら不発だったようだ。
「『水の眼』は入手できたし、どうする?」
そう言ってタルタルの黒魔道士が皆の顔を見回した時、
一人偵察に出ていたシーフから連絡が入った。
「いるぞ、Vouivreだ」
イフリートの釜を縄張りとする悪名高きドラゴン。
ワイバーンを狩る冒険者達にとって悪夢とも言われる存在だ。
これまで何人もの冒険者が犠牲になったという。
「よし、やろう」
嬉しそうに即座に言い放ったガルカを、私は信じられない思いで見つめた。
「ここにいる戦力で・・・勝てるのか?」
「いけるだろう、それに・・・
だからこそ見えるものもある」
■
日没と共にVouivreとの戦いが始まった。
忍者が注意をひきつけ、シーフと戦士が背後から攻撃を繰り出す。
モンクと私とQiqiruは側面から牽制。
坂の上では、タルタル族の黒魔道士、白魔道士、召喚士が次々と呪文を詠唱している。
そして、エルバーンの詩人が一人戦場を走り回りながら様々な呪歌を演奏している。
渾身の力で突いた攻撃の感触に顔をしかめた。
両手が痺れている。
そしてなによりも・・・。
「再生能力か・・・なんて強力な」
なんとか与えた傷もたちどころに塞がってゆく。
その圧倒的な力と存在感は揺らぎもしない。
人間など及びもつかない化け物・・・。
オオオオオオォォォ
咆哮を上げ大きく翼を広げるその姿が、実際よりも巨大に見えた。
「青龍に敗れたばかりの私達に、本当に倒せるのか?」
「青龍を倒そうというのに、こいつに勝てなくてどうする?」
私の疑問を、ガルカは一言で切って捨てた。
確かに、それは正しいけれど・・・。
魔力の篭った咆哮により一瞬硬直した隙をつかれ、忍者が深手を負って膝をつく。
すかさず戦士が小山のような龍の背後に周り、注意を引きつける。
堅固な鎧に身を包んでいるとはいえ、まともに食らえばタルタル族の身体などひとたまりのないだろう。
決してまともに攻撃を受け止めず、小さな身体が縦横無尽に飛び回り龍の顎から逃れる。
やがて、魔法によって傷を癒された忍者が再び龍の前に立ちはだかった。
その時だった。
一瞬。
ほんの一瞬だが、目の前の龍に感情が現れたような気がした。
焦燥、畏怖、絶望・・・・。
私が感じていたものと全く同じものを感じた。
何故?
巨大で強靭な体躯と圧倒的な戦闘能力を持つ龍が。
何故小さな私達に対してそんな感情を抱くのか。
■
半日が過ぎても、戦いは続いていた。
これほど長時間敵と戦いつづけたのは初めての経験だった。
無限の体力を持っているかのようなドラゴンも、
明らかに消耗し、深手を負っていた。
あともう一撃。
そろそろトドメを、そう思った時だった。
突如翼を叩きつけるように羽ばたき、龍が突進した。
不意を突かれ、忍者が弾き飛ばされる。
龍の先には後衛の3人のタルタル。
「ちぃぃぃ!!・・・開け!力の門!」
叫び声と同時に、戦士の小さな身体から、輝く闘気が溢れる。
両手で振りかぶった斧で光の軌跡を描きながら龍に突進して行く。
イフリートの釜に、断末魔が響いた。
■
最後の瞬間。
召喚されたリヴァイアサンが龍の行く手を遮った。
至近距離でタイダルウェイブを食らい、
イフリートの釜に君臨したドラゴン、Vouivreはついに力尽きた。
振り上げた斧の下ろし場所を失った戦士は
奇声を上げながら近くにいたトカゲに八つ当たりしている。
息絶えたドラゴンを眺めながら唐突に気づいた。
そうか、私はとんでもない思い違いをしていたのか。
無尽蔵の体力と魔力を持つ化け物。
それは私達のことだ。
どんなに深手を受けても、全ての力を使い果たしても、
しばらくすれば立ち上がり、再び立ち向かっていく。
この諦めの悪さこそ、私達の最大の武器なのかもしれない。
だったら・・・・・青龍との戦いはまだ終わってないじゃないか。
「おーい、こっちにきてみろよ」
龍の亡骸を調べていたシーフが呼んでいる。
近寄ってみると、そこには一本の槍があった。
余計な装飾の類はまるで存在しない。
ただひたすら、敵に突き立つことだけを目的とするかのような無骨な槍。
穂先から石突まで、全てが吸い込まれそうな漆黒だった。
初めから存在を知っていたらしい、ガルカが満足そうに頷く。
「うむ、やはりあったか・・・ゲイボルグ」
「これが・・・」
ゲイボルグ、竜騎士なら知らぬものはいないだろう。
「好きに使え」
「・・・本気?」
私の肩を叩きながら去っていったガルカに反射的に聞き返してしまった。
ゲイボルグ。
血塗られた魔槍。
その比類なき力は、やがて使い手すら滅ぼすという。
だが、力を得るということはそういうことだろう。
より強い力を得れば、より強い力と相対することになる。
自分にこの槍を振るう資格があるのか。
いや、違う。
必要なのは資格じゃない。
覚悟だ。
その覚悟が自分にあるのか。
夜は、いつのまにか明けていた。
■
青龍と初めて戦ってから1ヶ月が過ぎた。
再びトゥーリアに集まった仲間達。
新たに加わった仲間がいる。
新たな装備に身を包んだ者がいる。
「さぁ・・・この前の続きを始めようか」
私は仲間と共に輝くゲートへと飛び込んだ。
漆黒の槍を、その手に携えて。
2005 06 23 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック
2005.05.12
ヴァナディール昔話(FF11)
かつて、クフタルの覇権をめぐって
ワイバーン族とコカトリス族の戦いがありました。
クフタル下層を支配するコカトリス族に
上層を支配するワイバーン族が攻め込んだのです。
戦いは長く続き、ついにはそれぞれの王である
ギーブルとペリカンがぶつかり合いました。
激しい戦いに、クフタルに暮らす者の多くが
麻痺や沈黙に苦しみ、あるいは石化しました。
いつ果てるともしれない戦いに女神は大いに悲しみ
両者を引き離し二度と出逢えないようにしました。
ペリカンは一族とともに地下深くに幽閉され
ギーブルは一族と引き離され、上層へと戻されました。
そして上層と下層を繋ぐ唯一の道を岩で封じたのです
クフタルでは今でも時折、地下に押し込められたペリカンと
一族を探して彷徨うギーブルの慟哭が聞こえるといいます。
2005 05 12 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック
2005.03.14
スピリットリンク(FF11)
オズトロヤ城最奥。
次々と倒れていく仲間達。
倒れ伏した私は、もう視線を上げることすらできない。
近くでQiqiruの苦しげなうめきが聞こえる。
もう動けない。
ここまでか・・・。
意識が遠のいていき、ふと気づくと私は真っ暗な闇の中に浮かんでいた。
手を伸ばしても何も触れない。
猛烈な心細さに襲われ必至に周囲を見回し、手を伸ばす。
良く見ると遥か遠くに小さな、しかし強い光を感じた。
すがるようにソレを手繰り寄せる。
やがてその光は徐々に輝きを増し、近づいてくる。
あともう少し。
手を伸ばせば届く距離になった時、背後から声が聞こえてきた。
-よせ、それはヒトが使うには大きすぎる力だ-
力?
だったら今こそ力が必要な時じゃないか。
-その力を使えば、二度と戻れないかもしれない。オレのように-
それでも・・・・必要なんだ!
ソレに触れた瞬間、視界が光に包まれた。
目を開くと、私は既に立ち上がっていた。
こちらに気づいたヤグードが奇声を上げてこちらに走りこんでくる。
スピリットリンク・・・・・・・開放
魂に直接力が流れ込んでくる感覚。
そして同時に、何かが流れ出て行く感覚・・・。
痛みなど感じない。
全身に力が溢れ、誰にも負ける気がしない。
手にした槍を片手で力任せになぎ払うと、まともに食らったヤグードが壁まで吹き飛ばされ動かなくなった。
敵の生死を確認する暇もなく、新たな敵へと疾走する。
私に気づいたヤグードが両手刀を構えて攻撃を仕掛けてきた。
袈裟懸けの斬撃を横っ飛びでかわす。
そのまま跳躍し、頭上から一閃。
しかしその攻撃は相手に辛うじて受け止められた。
「クェア!!」
掛け声と共にヤグードの全身から何かが撃ち出された。
羽根吹雪!
猛毒の羽根が、着地点した私を貫かんと迫る。
至近距離、かわす術はない。
目を見開け!
見極めろ!
一瞬が永遠に引き伸ばされ、周囲の全てが手にとるように把握できた。
自分の体に当たる羽根だけを穂先で撃ち払う。
「!!」
ヤグードが驚愕に目を見開いた時には、既に私のランスが胸板を貫いていた。
「キサマ・・・バケモノカ・・・」
絶命したヤグードを見下ろすと眩暈が襲い、力が抜けていくのを感じた。
駄目だ。
まだ敵はいる。
力が・・・まだ力が必要だ!!
「やめろ!それ以上その力を使うな!」
仲間のエルバーンの叫びが耳に入ったが、構ってはいられない。
敵を。
敵をタオサナケレバ。
「スリプガ!!」
突如広範囲に魔法が作用し、ヤグード達が次々眠っていく。
「無事か!」
「退くぞ!負傷者を集めろ!エスケプする!」
助けが・・・来た・・・?
そう認識すると同時に、武器が手から滑り落ちた。
そして、私の意識はそのまま闇に沈んでいった。
目がさめると、そこはウィンダスのモグハウスだった。
「お、気づいたよー」
丁度様子を見に来ていたらしいミスラの戦士が、私の様子を見ると部屋の外に声をかけた。
彼女の相棒のヒュームが部屋に入って来た。
「アンタ達が助けてくれたのか・・・」
「ああ、丁度近くにいてな」
「ありがとう、助かった」
礼には答えず、彼は深刻そうな目で私を見つけてきた。
「お前・・・」
「ん?」
「いや・・・、そろそろ俺たちは出るよ。また縁があったら逢うだろう」
「そんじゃねー、Qiqiruちゃんによろしく~」
「ああ・・・・ありがとう」
二人と入れ違いに、今度は仲間のエルバーンが入って来た。
「どうやら大丈夫そうだな」
「Qiqiruは?」
「随分衰弱していたが無事だ。今は他の連中が見てるよ」
「よかった」
「Qiqiruの状態など、他人に聞かなくてもわかるだろう」
「・・・そう・・・なんだけどね」
「繋がるのが怖いか」
「!」
厳しい表情のまま、彼は続けた。
「スピリットリンクの危険性、知らぬわけではあるまい」
「・・・・」
「力を求めた結果、最後には」
「わかってる。そうなった竜騎士を・・・知っているから」
「だったら!」
予想以上に自分の声が響いたのに気づいたのか、彼は静かに言い直した。
「だったら約束してくれ。例え自分がどんな窮地に陥ろうとも、仲間が死にかけようとも二度とあの力を使わないと」
「・・・それは・・・約束できない」
「なに?」
「黙ってやられるのを待つなんてできない、それに・・・仲間を見殺しにするのはもうごめんだ」
これ以上話すことはないとばかりに一方的に会話を打ち切ると、ベッドから降りて部屋の出口へと向かう。
廊下を歩き出した私の背中に彼が声をかけてきた。
「もしお前が力に魅入られたならば、俺がこの手で始末をつける」
「いいね、それ」
そう答えて、私はモグハウスを後にした。
口の院の屋上で手すりにもたれながらただ海を眺める。
身体のあちこちが、常識を超えて酷使されたことを非難するかのように悲鳴を上げている。
いや、身体だけじゃない。
魂の奥底に、まるで楔をうたれたような痛みがある。
同時に、あの時の圧倒的な力の余韻も感じられた。
この力の誘惑に負けた時、私はヒトではなくなるのだろう。
海を染める夕日を眺めながら、ドラゴンスレイヤーでもあるラーアル隊長の言葉を思い出していた。
あれは、サンドリアで一人の竜騎士の最後を見届けた時だ。
今なら彼の言っていた言葉がよく理解できる。
-お前が竜になるのではない-
-竜がお前になるのだ-
竜・・・・か。
お前は、ヒトになりたいと思ったことがあるのかい?
Qiqiru・・・・。
2005 03 14 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (7) | トラックバック
2005.03.07
大森林に響かせろ!(FF11)
「ゴブリン発見!・・・・あ、取られた」
「ああ!むかつくぅぅ!」
「まぁまぁ、のんびりいこうぜ」
お手上げのジェスチャーをするシーフ。
地団駄を踏むリーダー。
それをなだめる吟遊詩人。
ここは、冒険者溢れるユタンガ大森林。
ヒュームの戦士をリーダーとして、私達はジュノでパーティを結成した。
リーダーと昔からの仲間だったらしいガルカの吟遊詩人とエルバーンのシーフ。
吟遊詩人に勧誘されてきたタルタルの黒魔道士と白魔道士のコンビ。
そして、最後に竜騎士である私が加入して6人。
いい狩場があるという噂を聞いて最近開通したばかりのカザム行き飛空挺に乗り込み、ユタンガ大森林へ。
そして今の状況がこれだ。
確かにいい狩場ではあった。
しかし、ジュノで噂になっていて冒険者がやってこないはずがない。
私達は、多くの冒険者に囲まれながら彼らと獲物を取り合うことになった。
「あれだ、Qiqiru君は猟犬のように獲物を見つけてはくれないのかね」
「・・・・無理です」
私の飛竜を指差しながら無茶な要求をしてくるリーダー。
そんな彼を不思議そうな表情で見つめ返すQiqiru。
「くっ、そんなつぶらな瞳で見つめたって騙されないぞ!」
やれやれ。
もう何度目かもわからないリーダーとQiqiruのやり取りに仲間達は「またか」と苦笑を浮かべている。
「ゴブリン発見!」
「待て!こっちにもゴブリンだ、一時退避」
遊んでるように見えて、リーダーの周囲に対する状況判断は素早く、そして的確だった。
神出鬼没なゴブリンに対して、決して同時に複数と戦うことがないよう気を配っていた。
なんだかんだ言って、シーフと吟遊詩人の二人がリーダーに全幅の信頼を置いているのがわかる。
「・・・よし、通過した」
全員で物陰に潜み、ゴブリンをやり過ごす。
そのまま奴の行き先を確認すると、先ほど私達が獲物を奪われたライバルパーティに迫っていくのが見えた。
魔法を唱えている黒魔道士を背後からゴブリンが強襲する。
「いけない!」
仲間の白魔道士が思わず叫んだ時、リーダーは既にゴブリンに向かって突進していた。
「援護する!!」
「!!・・・すまない!」
救援を求めたパーティのところへすぐさま駆けつけると、私達は新たなゴブリンを引き離し戦闘を開始する。
やがて、最初のゴブリンを片付けたライバルパーティも援護に駆けつけてくれ、大きな被害もなく撃退に成功した。
「ありがとう、助かったよ」
「なぁに、よくあることさ」
リーダー同士が軽く挨拶し、お互いのキャンプ地に戻る。
今の戦いで消耗した体力と魔力を回復させてから、再び狩りを再開。
「ゴブリン発見!・・・・あ、取られた」
「ああ!むかつくぅぅ!」
「・・・・ま、のんびりいこうぜ」
ついさっきのかっこよさはどこへやら。
リーダーはまたも獲物を取っていったライバルパーティを睨みつけ、ぶつくさと文句を言っている。
だけどそのパーティが窮地に陥ったら、やっぱりすぐさま駆けつけるんだろう、この人は。
口は悪いがお人好しなリーダー。
Qiqiruに八つ当たりする姿を見ながら、私はこの愉快なパ-ティに入れたことを幸運に思った。
「ゴブリン発見!!いくよ!」
「待て!!」
鋭い声で制止するリーダーの視線の先を追うと、また一匹のゴブリンが傷を負って治療中のパーティに迫っていくのが見えた。
無言で剣を抜くリーダー。
「まぁちょっと待ってくれ。マスターしたばかりの新曲があるんだが聞いてくれないか」
そう言うと、返事を待たずにガルカの吟遊詩人は演奏を始めた。
それは、まさにこれから戦い赴くに相応しい曲。
「・・・いいね」
「俺たちに丁度いいな・・・行くぜ!!」
私達は、リーダーを先頭に再びゴブリンへと駆け出していった。
無敵の進撃マーチを響かせながら。
2005 03 07 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック
2005.01.26
わんぱくでもいい、たくましく育ってくれ(FF11)
よう、しばらく見ないうちにデカくなりやがって。
親父に聞いたぜ、冒険者になったんだってなぁ。
まったく、時が過ぎるのは早いもんだ。
これから出るのか?
ああ、コロロカか。
ちゃんと準備万端整えたか?
・・・なに?
奥に行かないから大丈夫だと?
バカ野郎!
コロロカを舐めるんじゃねぇ!
コロロカの大海嘯って聞いたことあるか?
あそこはな・・・時として地獄になるんだよ。
遥か奥から溢れ出したリーチの大群によってな。
ああ、言いたい事はわかってる。
あそこのリーチはそんなに凶暴じゃないってんだろ?
確かに普通の奴らはこっちからちょっかい出さない限りおとなしいもんだ。
だがいるのさ。とびきり凶悪な奴がな。
俺が相棒と一緒にコロロカに潜った時。
ちょっとした探検気分だったよ。
大した準備もせずに出口付近をうろついていたのさ。
しばらくして、奥の方からおかしな音が聞こえてきた。
振り返ると、一人の冒険者が必死にこっちに走ってきたところだった。
近くまでやってきてゾっとしたね。
その冒険者は、全身にリーチをまとわりつかせていたのさ。
最も激しく襲い掛かっていたリーチ。
一目でわかったね。奴だと。
俺には、とても計り知れない強さだったよ。
呆然とする俺たちの脇を、瀕死の男とリーチの大群は通り過ぎていった。
そこからが悪夢の始まりだった。
最初の犠牲者を蹂躙しつくしたリーチどもは、近くにいた人間に一斉に襲い掛かったんだ。
想像できるか?
アーティファクトで身を固めた熟練の冒険者がなす術もなく力尽きていくのさ。
全身に数え切れないリーチをまとわりつかせてな。
俺たちは・・・たまたま通りかかったベテランの戦士に助けられた。
間一髪横穴に突き飛ばされたんだよ。
その戦士は「そこから出るなよ!」と念を押した後、逃げ送れた人を救出すべくまた本道に向かっていった。
二度と戻ってこなかったがな。
リンクシェルかなにかで連絡が届いたのか、救出隊が来ていたがリーチの獲物が増えただけだった。
多分犠牲者の知り合いなんだろう、レイズを唱え始めたタルタルの白魔道士が、戻ってきたリーチどもに飲み込まれるのを間近で見たよ。
まさか襲い掛かられるとは思っていなかったらしく、慌てて対処しようとしてたが時既に遅し。
リーチの塊になりながらしばらく動いていたが、すぐに動かなくなった。
なまじ抵抗できる分、熟練の冒険者は始末が悪かった。
何人何人も、絡まれては出口に向かって走り、途中で力尽きた。
そしてリーチどもはまた新たな犠牲者を見つけて襲い掛かるのさ。
駆け出しの冒険者にできることはなにもない。
見つかりませんようにって、女神さまに祈りながら震えてるだけだ。
なのにあのバカ野郎が・・・・。
相棒は俺の制止も聞かず、洞窟上部からリーチの大群を観察してやがった。
確かにリーチには見つからなかったがよ。
リーチの大群に混じって移動していたジェリーに見つかっちまっておしまいさ。
サイレントオイルでも使ってりゃあよう。
結果的に、必要ないってんのならそれはお前の判断さ。
俺がとやかく言うことじゃねぇ。
金にモノ言わせて、薬品の力だけで冒険しても身につかねぇしな。
時には地獄の釜の上を綱渡りするのも必要だと思うよ。
だがな、奥行かないから大丈夫なんて理由なら言わせて貰うぞ。
例え裏山に散歩するだけでも最善の準備をするか、でなければ命を賭けろ。
お前らがこれから生きていくのは、そういう世界さ。
2005 01 26 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (7) | トラックバック
2005.01.20
あの背中に(FF11)
「ん~?そうそう。今ウィンダス」
裁縫ギルドの扉をくぐりながら、リンクパールに向かって会話を飛ばす。
「リ・テロアがウィンダス領だからOPテレポで行くよ。じゃ、現地で」
会話を打ち切ると、手の中の小さな珠をポケットに放りながらウィンダス港へと向かった。
裁縫ギルドに指定品を納品してから、アウトポスト経由でトゥーリアへ。
ジュノのチョコボ屋は高いので、リ・テロアがウィンダス領の時はいつもこのルートだ。
しかし、ウィンダス港の目的の場所へついた私を待っていたのは、予想外の光景だった。
なんか、凄い、行列が・・・。
一体何事?
「ちゃんと並んでくださーい!順番に!じゅんばんにーー!」
なんて叫びが人垣の中心から聞こえてくるが、声の主の姿は全く見えない。
ああいう時、タルタルは大変だなと思う。
こりゃしばらく待った方が良さそうだ。
ふと港の方を眺めると、一人の初老の男性が釣りをしているのが目に入った。
何故かその男の周囲だけ、まるで隔絶されたように喧騒と無縁だった。
私はゆっくりと彼に歩み寄ると、横から水面を覗き見た。
「釣れる?」
「いや・・・よくないな」
男はこちらを一瞥すると、すぐに水面に視線を戻してニコリともせずに答えた。
「今日は、漁は休み?」
「既に引退した。これは・・趣味のようなものだ」
「ふーん・・・」
ちらりと男を盗み見ると、腕にはいくつもの傷があった。
それは海を、嵐を、モンスターを相手に、戦ってきた証だった。
「歴戦の海の戦士・・・・か、尊敬されてるんだろうね」
「歴戦のウィンダスの英雄様ほどではないさ」
「・・・知ってるんだ」
「ウィンダスで知らぬものはいないだろう」
「別に・・・英雄になるために冒険者になったんじゃないんだけどね」
「じゃあ、何のためだ?」
「・・・・・」
しばらくの間、二人とも口をきかず、じっと水面だけを見ていた。
「釣れないね」
「ここは釣り人が多いからな、仕方ない」
男は諦めたような口調でため息をつく。
だが、何故か不満気な雰囲気は感じなかった。
私は最初から抱いていた疑問を尋ねてみた。
「いつもここで?」
「・・・・リ・テロアがウィンダス領土の時はな」
「そっか・・・・・知らなかった」
振り返ると既に人垣は消え、2人程がテレポを待っているだけだった。
「じゃあ、そろそろ行かないと。人も待たせてるし」
「そうか」
「それじゃ、またいつか」
「ああ」
男の側を離れて、アウトポストテレポ担当のタルタルの元へ歩み寄る。
「リ・テロアにお願い」
「は~い」
タルタルが魔法を唱え始めた時、背後から男の声がかけられた。
「旅はまだ、終わらないのか?」
「・・・うん」
「大切なものは、見つかったか?」
「・・・・見つかった・・・と思う」
「ならばお前はもう、一人前だ。自分の信じた道を行け」
「では、良い旅を~」
タルタルの見送りの声と共に魔法の光に包まれる。
視界が真っ白に染まる直前振り返ると、そこにはもう、誰もいなかった。
だけど私は、確かに見えた気がした。
歴史が刻まれた、戦士の背中を。
それは、幼い頃からずっと、ウィンダス港のあの場所で見つめていたもの。
もう、忘れかけていたもの。
「どうした?いつもより気合が入ってるような」
仲間達といつものようにトゥーリアを探索していると、やっぱり指摘された。
「・・・初心を思い出した」
「初心?冒険者の?」
「いや、もっと前の」
仲間が不思議そうに首をひねる。
私はゆっくりと手を前に伸ばす。
その手の先にある、いまだ届かないものを掴むように。
「あの背中に、追いつきたかったんだ」
2005 01 20 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (9) | トラックバック
2004.12.20
トゥーリアの宝(FF11)
「まだだ。動くな」
攻撃部隊を指揮するガルカの声で我に返る。
無意識のうちに踏み出していた一歩をゆっくりと戻す。
手のひらにじっとりと汗がにじんでいた。
トゥーリアの主、麒麟との戦いはすでに始まっていた。
これは・・・拷問だ。
今広間の中心では、仲間達と麒麟が激しい戦いを繰り広げている。
しかし、今の私達に必要なことは待機。
例え目の前に瀕死の仲間がいても、援護も回復してやることも許されない。
狂おうしい程の時間。
開戦からかなりの時間が過ぎた。
麒麟陽動部隊は必死に攻撃をひきつけ、かわし、時に傷つきながらも静かに作戦を遂行していた。
「来たぞ!」
リンクパールを通して報告。
全員に緊張が走った。
麒麟が光を纏いながら、何者かを召喚しようとしている。
「朱雀!」
攻撃部隊、盾部隊、回復部隊が一斉に動き出す。
本当の意味での麒麟戦が今、始まった。
盾部隊が囮となり、朱雀を作戦ポイントへと誘導する。
待ち構えていた攻撃部隊が一斉に全力攻撃を叩きつける。
「出し惜しみはなしだ!」
これまでも、幾度となく戦ってきた四神。
勝利を目指して戦いながら、あくまで犠牲を少なくすることが重要だった。
しかし今日の戦いだけは違う。
重要なのは「スピード」。
一秒でも早く敵を無力化する。
そのためだけにあらゆる技能を費やし、代償に自らの命すら支払う。
視界が真っ赤に染まり、朱雀のファイガが炸裂する。
「連続魔!」
しかし攻撃部隊は手を緩めることなく次々と武器を振るう。
一瞬で数人の仲間が吹き飛ばされる隙に、仲間の赤魔道士も連続魔を発動する。
次々と強力な魔法を唱える朱雀に降り注がれるたった一人によるスタン。
激しい魔力と魔力がぶつかりあい、相殺される。
動きを止めた朱雀に、仲間達が殺到しその命を奪う。
「白虎!!」
すぐさま次の四神召喚の報告が届く。
朱雀と同様、作戦ポイントに誘導し、攻撃部隊が攻撃。
強力な爪と咆哮をもってしても、今の私達を止めることはできない。
絶対回避をも無視したなりふり構わぬ攻撃に、白虎もその巨体を横たえる。
「玄武だ!!」
「まかせろ!」
攻撃部隊から数人が飛び出し、玄武へ向かう。
そして玄武を別の作戦ポイントへ誘導。
そこで時間稼ぎを試みる。
その間に私達は最後に現れるであろう青龍の迎撃体勢を整える。
こういう局面では、ある意味青龍は非常に厄介な敵だ。
近寄る仲間達を麻痺させ、魔法を封じ、身を包む魔法を剥ぎ取ってくる。
深刻な被害を撒き散らす前に、瞬殺しなければならない。
「青龍!!」
広間に出現した青龍を作戦通りに処理する。
一瞬、青龍から力が迸った。
そして一気に加速する。
百烈拳。
その巨大な顎が、目の前で武器を振るう者を捕らえようとした瞬間、一人のナイトが滑り込む。
「しばらく付き合ってもらおうか!」
インビンシブル。
嵐のような攻撃が彼を襲う。
しかし、今の彼を傷つけることはできない。
「次は私よ!」
時間差をおいて、二人目のナイトが攻撃を引き受ける。
龍の牙が失速すると同時に、青龍はその命も失っていた。
「青龍撃破!」
「よくやった!」
「まだだ!」
たった数人で玄武を凌いでいた仲間が戻ってきた。
すぐさま傷ついた体に回復魔法が飛ぶ。
青龍を倒したばかりの私達も、一息つく事もなく玄武迎撃に参加する。
防御を固めて粘る玄武を精霊魔法が打ちのめし、撃破する。
「四神処理完了!!」
「よし!」
全員の士気がこれ以上ない程に上がる。
残るは・・・・麒麟のみ!
・
「なんだあの再生速度は」
「ちっ、反則だな・・・」
部隊を再編成して麒麟へと戦力を集中。
そこで私達を驚愕させたのは、その異常ともいえる再生能力だった。
剣技を叩き込み、魔法を撃ちつけ、遠隔攻撃を突き刺しても、次々傷がふさがっていく。
それでも僅かではあるが、ダメージは蓄積しているようだ。
ならば私達はひたすらそれを続けよう。
群がる冒険者から攻撃を受けながら、麒麟は猛威を振るう。
確かに私達は奴に傷を与えているが、こちらの被害も甚大だ。
紙一重のバランスを破られた時、ナイトが、忍者が崩れ落ちる。
黒魔道士が、狩人が、一撃と引き換えに吹き飛ばされる。
「一旦離脱します」
「交代いきます」
「残り魔力は?」
「まだいける」
「次、盾部隊の白魔道士交代いくよ」
「蘇生完了。戦線に復帰します」
「ヘイストお願い」
激しい戦いと裏腹に、リンクパールから聞こえる声は淡々としたものだ。
全員が、ただ一つの目的のために与えられた責務を果たしていく。
私は大車輪を叩き込んだ後、一旦広間の壁際までを離脱していた。
私達人間は一時も休まず戦いつづけることはできない。
自分の全力を振り絞ったら、潔く後退し力を溜めるのも重要な仕事だ。
このような長期戦で、アタッカーは戦闘中に睡眠を取ることすら要求される。
そろそろ戦線に復帰しようとしたその時だった。
「警告!アストラルフ・・・」
ズズン・・・・
広大な広間に衝撃波が走った。
無慈悲な力が、仲間達を飲み込んでいく。
「被害を報告!!」
「こっちは4人やられた!」
「盾は何枚残ってる!!」
「しばらくもたせて!」
「蘇生急げ!!リレイズが切れてた者にレイズ!大至急だ!」
一気にリンクパールが騒がしくなる。
「ここが踏ん張りどころだ!いいか!立て直すぞ!」
すでに開戦から、丸一日が過ぎようとしていた。
・
大車輪を叩き込んだ直後、すさまじい衝撃を受けて目の前が真っ暗になった。
気づけば、壁際まで吹き飛ばされていた。
冷静に自分のダメージを分析する。
多量の出血。
数箇所の骨折。
武器はある。
手も足も動く。
なにより・・・・まだ死んではいない。
ならば何も問題はない。
口元の血を拭うと、私は再び麒麟へ向かって疾走した。
太い腕をかわし、しなる尻尾を掻い潜り。
もう一撃!
さらに一撃!
ただひたすら、愛用のランスで突き続ける。
再生能力の低下した麒麟は徐々にその動きを鈍らせていった。
油断することなく、私達は一撃一撃追い詰めていく。
やがて、最後の瞬間が訪れた。
魔法と剣技が突き刺さり、巨体の動きが止まる。
そしてゆっくりと崩れ落ちていった。
長い間、私達はトゥーリアで戦い続けて来た。
その集大成が目の前にある。
それは麒麟の亡骸や戦利品ではない。
困難な戦いを乗り越えて来た仲間達。
ズタボロになりながらも、歓声を上げ、肩を組み勝どきを上げる。
そして皆のその笑顔。
今日私は、トゥーリアで最高の宝を手に入れたのかもしれない。
2004 12 20 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (5) | トラックバック
2004.12.17
麒麟戦って多分こんな感じ(FF11)
※1:麒麟戦をやったことも見たことも想定したこともない人間が妄想しています。
※2:先日久しぶりに「トップをねらえ!」を見ました。
「見たまえ。ああやってマラソンを続けていれば、やがて奴もMPがつきる」
「人海戦術ですな」
「人海戦術か。今の我々のためにある言葉だよ」
「エリア573Dに重力振!朱雀がワープアウトしてきます!」
「そんなバカな!信じられん、奴は四神を召喚できるのか!」
「艦長!朱雀は直接、アタッカー部隊につっこむつもりです!」
「なに!特攻か!奴め、こちらの作戦に気づいたな!くいとめろ!朱雀の侵攻をこれ以上許してはいかん!」
「ダメです!サポシの前衛では持ちこたえられません!」
「なんてこった!!」
「盾部隊展開!」
「朱雀、盾部隊に接触」
「もってくれよ!」
ドカーン
「まさか!」
「連続魔ファイガだなんて!」
「続いて白虎、青龍、玄武来ます!」
「盾崩壊!損害不明!」
「スタン部隊、オポ昏睡部隊にも被害が出ています」
「どんな犠牲を払ってもかまわん!戦線を死守しろ!」
BGMに合わせて激戦の静止画
のべ死者数 32人
衰弱中 5人
回線落ち 3人
「玄武召喚以降、麒麟は沈黙を守っています」
「次に動く時は、恐らくアストラルフロウで来ますな」
「味方は、何人残っているか」
「20人です」
「そうか・・・・健闘したな」
2004 12 17 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック
2004.11.10
竜騎士回顧録 ガルレージュの入り口で(FF11)
敵の標的が赤魔道士へと向う。
「くそ!お前の相手はこっちだ!」
私と戦士が、敵の注意を引くべくフォーメーションを変える。崩れたフォーメーションを立て直すころには、Borer Beetleはピクリとも動かなくなっていた。
ここはガルレージュ要塞。その昔、エルバーンが建造したという巨大な建造物はいまや朽ち果て、無残な姿を晒している。壁はいたるところで崩れ、床が抜けている場所すらある。そんな、およそ人の住める場所ではないガルレージュ要塞だが、冒険者達が探索に赴く代表的な場所の一つだ。
ジュノでパーティを組んだ私達は、ここに巣くう甲虫退治をすべくこの廃墟を訪れていた。
「ふぅ~~」
戦士が大きく息を吐き、シーフが困ったような視線をこちらによこす。どうもフォーメーションが悪い。具体的に言うと赤魔道士の位置取りが悪い。
「危ないから俺の側に立たないで」
そう戦士が言うのも何度目か。どうしたものかと思っていると突然詩人が宣言した。
「はーい、敵役に立候補します」
「?・・・・・OK」
私は素早く詩人の後ろに回り込むと、こう言う。
「詩人を発見。攻撃するよ」
ピンときた戦士とシーフも詩人を取り囲んだ。こうして、詩人を仮想敵としたフォーメーションの確認が始まった。各々の位置取りを再確認したことで驚くほどスムーズに戦える様になった。1体の獲物を屠った後、パーティはほとんど消耗していない。バラードを奏でながら詩人が前衛に声をかける。
「さぁ、どんどん行きましょうか」
順調に戦いを続け、そろそろ引き上げ時となった私達は最後と決めた敵を倒すと要塞出口近くで身体を休めていた。
「いやー最後とはいえ、骨は強かったなぁ」
「しかも硬いし」
「硬いというか。槍が刺さんないんだよね、あれ」
「あーなるほどねー」
中々良い具合に経験が積めたことでパーティ内の雰囲気も明るく、緊張から解放されて皆饒舌だった。
「ん?なんだ?」
何やら奥の方から悲鳴が聞こえたかと思うと、1組の冒険者達が私達の脇を通りすぎて出口へと向っていった。その後ろを追いかけるBorer BeetleとFallen Evacuee・・・・。思わず呆然と見送る。
「・・・・・おいおい」
「あの2匹、見たこともないくらい強いよ!」
赤魔道士が悲鳴を上げる。敗走した冒険者達は何とか出口に辿り着き、要塞から脱出したようだった。取り残された2匹が出口で動きを止める。
「あれは・・・やばいよ」
無意識のうちに背中のランスに手を掛ける。パーティ内で最も経験を積んでいたのは私だった。そしてその私から見てもあの2体は危険な敵だった。恐らく、今日倒してきた敵のどれよりも強いだろう。
出口はすぐ。敵の攻撃は受けるだろうけど、全力で走りぬければ恐らく無事に要塞を脱出できるだろう。奴らは太陽が照らす外界へは追って来ない。そして私達は予定通りジュノへと帰還できる。しかし・・・。
ちらりと後ろを振り返る。そこでは多くの冒険者達が蝙蝠を狩っていた。狭い通路は冒険者でいっぱいで、走り抜けるのも困難なほどだ。そして彼らは私達よりも力量は下だった。恐らくあの2体と戦うことのできるのはこの場で私達だけだろう。あの2体が入り口から戻ってきた時に起こるであろう惨劇が容易に想像できた。
どうする?
その時、ヒーリングを終えた詩人がゆっくりと立ち上がると、竪琴を爪弾き始めた。
「さぁ・・・やろうか」
そういうことになった。
今まで何匹も倒したBorer Beetleと同じように戦士が攻撃を引き付け、私とシーフが敵の急所を狙う。問題ない、やることは何も変わらない。しかし戦士にかかる回復呪文は明らかに今までよりも強力なものだ。冒険者としての感覚が、この敵を無事倒せることを告げる。そして同時に、魔道士達の消耗が今までと比べ物にならないということも肌で感じていた。
Borer Beetleが動きを止めるとすぐさま後衛3人は跪き精神集中を始める。消耗した魔力を回復させなければならない。私とシーフはその3人をかばうように並び立った。無論武器は抜いたままだ。
視線の先にはFallen Evacuee。先ほど苦戦したスケルトン族だ。あと数歩で槍が届く場所で、そいつは生気のカケラも無い真っ黒な眼窩をこちらに向けていた。
「ふん、ご丁寧に待っててくれたか」
剣を収め挌闘武器を準備した戦士がゆっくりと歩み出る。
「こんな奴素手で十分だな」
「・・・いや、素手じゃないし」
「細かいこと気にするな」
とても命懸けの戦いをしているとは思えない軽口を叩き合う戦士とシーフ。しかしその目はしっかりと敵を捕らえて離さない。
「それよりも、なんだか随分とギャラリーがついてるよ」
白魔道士が苦笑しながら指をさす。視線を上げると階段の上に何人もの冒険者達が私達を見下ろしているのが見えた。無理も無い。とても勝てそうもない強力な敵が入り口近くに陣取っているのだ。このままでは要塞出入り口は事実上閉鎖状態だろう。
そしてついに、Fallen Evacueeがこちらに駆け寄ってきた。
「くる!」
「いくぜ、第二ラウンドだ!」
満足に回復もできぬまま、新たな戦いが始まった。
今まで敵の攻撃を一身に受けていた戦士が深い傷を受けてよろめく。すかさず私が盾となり彼の回復する時間を稼ぐ。Fallen Evacueeが真っ黒い雲を吐き出し、仲間達の体力がごっそりと削られる。すかさず強力な回復呪文がいくつも飛ぶ。
壮絶な消耗戦の中、敵の動きも明らかに弱まってきた。詩人が、赤魔道士が、呪文を使い果たし剣を抜いて切りかかる。もはや数えるのも嫌になった何度目かの黒い雲が晴れた後、カラカラとあっけない音をたててFallen Evacueeが崩れ落ちていた。跡に残ったのは床に散らばる一人分の骨。
「・・・・・つかれた~~~」
戦士がばったりと大の字に倒れ込む。見回せば皆、恥も外見もなくその場に座り込んでいた。
「暗闇で前がよく見え~ん」
「ごめん、今はブライナもかけられないよ」
紙一重の総力戦だった。
座り込む私達の脇を何事もなかったかのように、冒険者達が行き交う。彼らが私達を誉めるわけでもなく、お礼を言うわけでもなく。だけど私達の顔は皆充実感に溢れ、とても誇らしげだった。
しばらくして、ヒーリングを終えた詩人がゆっくりと立ち上がると、竪琴を爪弾き始めた。
「さぁ、帰ろうか」
2004 11 10 [妄想ストーリー] | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック
2004.11.01
さぁ、行こう(FF11)
ル・ルデの庭。
ジュノに聳え立つ空中庭園であり、多くの冒険者達の出逢いと別れの舞台でもある。新たなパーティが産まれ、解散し、そしてまた産まれる。その繰り返しの中、再会する仲間、出遭う仲間。今日もまた、新たなパーティが冒険へと旅立って行く。
「あつい・・・」
手のひらを太陽に透かしてから、額に浮かんだ汗を拭う。
「さすが空中庭園。きっと太陽に近いせいだ・・・・」
しかし本来その愚痴を聞くべき相棒の飛竜はここにはおらず、今ごろは郊外の木陰で昼寝でもしているのだろう。たった一人、久しぶりに訪れたル・ルデの庭はあいも変わらず冒険者達で賑わっていた。
貴重な宝物を探しに行くメンバーを募る声
手強い敵を倒すための協力者を求める声
自分の力を売り込む声
冒険で欠かせないアイテムを販売する声
テレポの呪文を掛けてくれる魔道士を探す声
自分の冒険談を語る声
他愛もない雑談の声
ここ最近、気軽な一人(と一匹)旅をしていたが、久しぶりにパーティを組んで冒険するのも悪くない、そう考えてやってきたわけだが・・・・。最近ジュノでは、同じ位の力量の冒険者に出会えず、なかなかパーティを組めないことが多い。仲間を求めて何日もジュノを歩き回ることもざらだ。
ブラブラと空中庭園を歩きながら周りを見回すと、案の定フリーの魔道士の姿はほとんど見掛けない。パーティが組めるまでしばらくはジュノに滞在かな、そう考え始めた時、丁度モグハウスから一人のタルタルが出て来るのが見えた。白魔道士のようだ。
誘いの言葉をかけようと近寄った私の口から出て来たのは、予定とすこし違うものだった。
「随分昔ですが、ご一緒したことありませんか?」
「あ、そうですね。あります」
彼女は私の顔を見上げるなり、微笑みながらすぐに同意した。たった一度組んだだけ。だけど、自分のことを覚えていてもらってなんだか嬉しかった。
「確か、クフィムでの修行時代でしたね」
彼女が遠い目をして話す。今思い出しても酷い出来事だった。そう、笑いが込み上げてくるほどに。あれはまだジュノへ辿り着いたばかりの未熟な頃、私達は6人でクフィム島を狩り場に修行に明け暮れていた。
あの島は夜になると強力な死霊達が徘徊するため、日が沈む前に安全な場所へ移動するのが常識だ。しかしその日は、仲間の一人のガルカが荒野の真ん中で眠ってしまったのだ。叩こうが蹴ろうが起きやしない。その巨体は押しても引いてもびくともしない。
その後私達は死霊達に追いまわされ、死ぬ思いでジュノへと続く洞窟に逃げ帰ったのだが、なんと眠っていたガルカの彼はあくび交じりにそこで合流したのだ。死霊共がうろつく荒野の真ん中で熟睡していたことに呆れるやら、傷一つ負ってないことに驚くやら。
「信じられない!」
そう叫ぶ白魔道士の彼女の顔が今でも思い出される。
あれから彼女もいろんな仲間と組み冒険をしてきたことだろう。荒野の真ん中で寝てしまうような仲間はいなかっただろうか?
一瞬の回想の後、私は彼女を誘ってみた。
「よろこんで」
仲間集めは、幸先がよさそうだ。
「でも、今度は途中で眠らない人がいいですね」
どうやら回想していたシーンは彼女も同じだったらしい。
二人で談笑しながら噴水の近くを歩いている時だった。大きな、そして聞き覚えのある笑い声。初めてアルテパ砂漠を探索した時に同行してくれたガルカ族のモンクだ。新しい魔法を覚えて喜ぶ仲間を激しく抱擁して、一緒に喜んでいたのが印象的だった。タルタル族の魔道士はすぐにぐったりと動かなくなったが・・・・。アルテパから帰ってきた後、ガルレージュ要塞の探索でも一緒になった。要塞内を移動しながら私がアルテパの話をすると
「ああ!あの時の!久しぶ・・・」
と言いながら突如姿が消失した時は驚いたものだった。そして床の亀裂から地下に落下したことに気付いた時はパーティ全員が青くなった。地下の敵の強さは1階部分の比ではない、あの頃の力量では1分と生き延びられなかっただろう。仲間の黒魔道士がすぐさま後を追って飛び込み、転移魔法で脱出しなければ彼はどうなっていたか。
そんなことを思い出しながら、彼に声をかける。再会を喜びあい(抱擁は丁重に辞退した)、また一緒に冒険に出ることを快諾してもらった。
ガルカ族の彼が「黒魔道士一人、心当たりがあるんだけど」というのですぐに紹介してもらった。
「よろしく」
そう言って、右手を差し出すミスラ族の黒魔道士は今回初めて組む間柄だったが、顔は知っていた。このル・ルデの庭や、以前ユタンガでゴブリン相手に戦っていたのを見たことがある。
ユタンガのようなゴブリンの多い地では、付近にいるパーティに救援を求めたり、苦戦するパーティに加勢することがよくある。おのずと周囲のパーティメンバーの顔も覚えることになる。もっとも、顔を覚える理由は「一目置く」から「ブラックリスト行き」まで様々だが・・・・。
幸運にも、彼女のパーティと私のパーティはお互い協力して狩場の安全を確保しあう理想的な関係だった。
「こちらこそよろしく!」
私は力強く握手を交わした。
白魔道士と黒魔道士が揃ったところで、丁度フリーの赤魔道士を見かけてすぐに声をかけ、交渉に入った。タルタル族の彼とは初対面ではあったが、その言動や雰囲気から相当な腕前であることが見て取れた。
「是非、あなたの力が欲しい」
そして彼はパーティに参加してくれることを承諾してくれた。タルタル族の外見ゆえわからないが、恐らくこのパーティで一番の年長者だろう。その経験と知識はきっと私達を助けてくれるに違いない。
これで5人。ここで赤魔道士が提案してきた。
「盾役が欲しいところですね」
「盾、か・・・・・」
そう言われて、私の脳裏に一人のナイトが浮かんだ。
「心当たりが?」
「ええ、ちょっと」
私は一人、バストゥーク大使館に足を向ける。大使館に入ると、ロビーの奥にいるヒュームのナイトに声をかけた。彼とは必要最低限の会話しかしたことはない。だが何度も死線を潜り抜けた戦友だった。
アルテパでアンティカ達に強襲された時、
クロウラーの巣でソルジャークロウラーに挟み撃ちにあった時、
いつも殿(しんがり)には彼がいた。仲間の身を守り、そして自分も生還する信頼できるナイトだ。
最後に彼と組んだのはグスタフだった。ダンジョンの奥で私と彼はたった二人、仲間のテレポに取り残されてしまったのだ。そこから地上に生還するまで、ゴブリン達に襲われながらの逃亡劇。全力で走り、タイミングを見計らって反撃、また走り、敵の詠唱を潰し、また走る。私の冒険者人生の中でも指折りの修羅場だ。
今日もまた、私は彼を冒険へと誘い、そして彼は承諾する。「久しぶり」や「この前はありがとう」なんて挨拶はない。ただ「よろしく」。それだけだが、今回もきっと彼はパーティの素晴らしい盾となってくれるだろう、だから私は矛となる。
庭の一角に全員が集まる。今日結成したばかり、産まれたてのパーティだ。以前の仲間だった者、初対面の者、これまでの経歴は様々。だが、私達はたった今からお互いの命を預ける仲間になった。
フォーメーションや連携、呪文の順番など、戦術的な打ち合わせ、想定される敵の考察。狩り場候補地の最新情報の入手と検討。打ち合わせが終わると私は全員を見まわした。
「みんな準備はOK?」
仲間達は静かに頷く。
「じゃあ、行こうか!・・・・目的地は-」
ル・ルデの庭
ジュノに聳え立つ空中庭園であり、多くの冒険者達の出逢いと別れの舞台でもある。新たなパーティが産まれ、解散し、そしてまた産まれる。その繰り返しの中、再会する仲間、出遭う仲間。今日もまた、新たなパーティが冒険へと旅立って行く。
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2004.10.15
竜騎士への誘い(FF11)
ダボイ。
そこは、オークどものこの大陸での本拠地。
その日は私を含めた戦士3人、赤魔道士、黒魔道士、白魔道士というメンバー構成でダボイへと侵入していた。ウンザリするほどの数のオーク達の目を盗み、時には打ち倒し、私達は歩を進めた。目的はオークが入手したというサンドリアのある秘密。
何匹目かのオークを倒した私達はついに目的のものを発見した。
「なんだ?・・・設計図?・・・・これは!?」
「どうした?」
息を呑む戦士が見詰めるそれを赤魔道士が覗き込む。
「・・・・どこかの建物だな。どこだ?・・・・・・ドラギーユ!?」
仲間達の間に戦慄が走った。ドラギーユ。サンドリア王国の王城だ。その設計図をオークが所持していた・・・・。
「私達は、獣人に対して一枚岩ではないということね。案外獣人の方が結束しているのかも」
事情を知っている白魔道士が自嘲気味に笑う。
「きな臭いな・・・・」
戦士から設計図を受け取る。確かに王城の設計図だ。まさかここまで・・・。サンドリアからの依頼を受けていた白魔道士に設計図を渡そうとしたその時だった。
「オーク!」
先行して偵察していた戦士の鋭い警告が飛んだ。
迫ってくるオークはこれまで何匹か倒してきたモノと同ランクだ。かなりの強さだが、6人が総力を挙げてなんとか退けてきた。しかし
「2匹!」
リーダーである戦士が一瞬だけ背後を振り返った。退路を検討したのだろう。しかしここまで深く侵入してしまった以上、退却してもオークに囲まれ途中で全滅する危険性が高い。
「ここで迎え撃つ!」
迷いを断ち切り、私達は通路の真ん中に仁王立ちして2匹のオークを迎え撃つ。3人が壁となり、オークを食い止めなければならない。
「全力でいくぞ!」
「おう!」
3人が一斉にマイティストライクを発動させる。数十秒間だけ超人的な力を引き出す戦士の奥の手だ。数日間の後遺症に悩まされることになるが、それも生きて帰れたらの話だ。
間合いに入った瞬間、3人の攻撃がオークに叩きつけられる。しかし、奴らの突進力はこちらの想像を上回るものだった。一匹が私達を突破し、白魔道士に襲い掛かる。
「マズイ!」
注意がそれた瞬間、目の前のオークの猛攻を受けて逆に押し込まれてしまう。白魔道士のローブが自らの血に染まるのが見えた。しかし彼女は怯むこと無く仲間を回復し続ける。必ず仲間がオークを止めてくれることを信じて。
「スリプル!」
間一髪、赤魔道士の呪文がオークを眠らせる。私達も体勢を立て直し、オークを取り囲む。
-いける-
そう確信した瞬間だった。
「後ろ!」
背後からもう一匹のオークがいつの間にか迫ってきていた。
「ここは俺が抑える!」
赤魔道士が剣を抜いて、新たなオークの前に立ちふさがる。
戦況は絶望的だった。
睡眠状態から回復したオークが叫び声を上げながら、攻撃に加わってきた。白魔道士の魔力はすでに尽き果て、黒魔道士は必死に回復魔法を唱え、攻撃に参加する余裕がない。
死ぬ。
誰もが脳裏に浮かんだその瞬間、白魔道士の体が光に包まれるのが見えた。
「アルタナの女神よ・・・・・彼の者に祝福を!」
眩しい光と共に、仲間達の傷がふさがってゆく。
「みんな・・・・死なないでね」
呪文ではなく、ただ女神へと祈りを捧げる。それだけで仲間達の傷を癒すことができる。それは白魔道士にのみ許された奇跡。そしてその代償は・・・・。
殺到した2匹のオークの拳を食らい、彼女は吹き飛び・・・・そして二度と立ち上がることはなかった。
「くそおおおおお!」
3人が一斉に気を乗せた剣技を叩き付け、黒魔道士が渾身の攻撃呪文を解き放つ。激しい炎の中、ようやく最初のオークが崩れ落ちる。
「次だ!」
私達が2匹目のオークと戦い始めた頃、赤魔道士も目の前のオークに辛くもトドメを刺していた。自分に回復呪文を掛けながらガックリと膝をつく。しかしすぐに立ち上がると、またも剣を構える。
「・・・・まったく、人使いが荒すぎるぜ!」
新たなオークが、赤魔道士に迫っていた。
白魔道士の遺体を前にして私達は無力感に打ちのめされていた。周囲にはオークの死体が4つ。冷静に考えれば、一人の犠牲ですんだことは幸運と言えるだろう。だが納得できるものではない。
「・・・・すぐにここを離れるぞ」
日没近いダボイ。私達は白魔道士にそれぞれ最後の別れを告げると出口へと向った。
出口まであと少しというところで、ついにオークに見つかった。一体どこに隠れていたのかと思うほどの数がゾロゾロと私達に迫る。
「走れ!」
まだ包囲はされていない。このまま行けば・・・・振り返ったすぐそこに、いるべき仲間がいなかった。黒魔道士が遅れていた。
「くっ!今行く!」
「来ないで!」
すでにオークどもが群がり、黒魔道士の姿を確認することすらできない。
「戻っても全滅するだけだ!早く逃げて!」
「だけど!」
「・・・行くぞ!いまのうちに脱出する!」
血を吐くようなリーダーの声を合図に私達は出口へと走り続けた。
「お先に・・・・」
それが黒魔道士の最後の言葉だった。
私達はジャグナーの密林をひたすら走った。
「しっかりしろ!」
リーダーが、サーベルタイガーの牙を受けて重症を負った赤魔道士を叱咤する。戦士が3人いても、彼の傷を癒すことはできない。
「俺は大丈夫だ。ここに置いて先に行ってくれ」
「そんなことできるわけないだろう!」
「しばらく休めば自分で回復魔法が使える。・・・正直走るのはもうウンザリでね」
「・・・・・・」
「俺一人なら魔法でどうとでもなるさ」
私達は、彼を大木の影に横たえその場を後にした。
「また、どこかで」
「ああ・・・おやすみ」
オークから逃げながら、ふと気付くと私は一人きりになっていた。
「他の2人は・・・無事だろうか」
大木の下で雨宿りしながら呟く。そこでふと、懐に一枚の紙が入っていることに気付いた。
「これは・・・・」
王城設計図。
そうか、あの時慌てて私が持ったままだったのか。短い間とはいえ、共に戦った仲間達の顔が浮かぶ。随分と昔のことのようだ。
いくらか体力も回復した私は立ち上がるとゆっくりと周囲を見回してみた。立て札を見ると、どうやら随分とジュノから離れた方向に来てしまったようだ。南に下ればすぐにラテーヌ高原、ロンフォール、そしてサンドリア・・・・。
「・・・サンドリアに、行ってみようか」
サンドリアは騎士の国だ。仲間を守り抜く術を、力を、与えてくれるかもしれない。私は南へと続く街道を歩き始めた。この決断が、自分自身をある運命へと導くことになる。
その頃世界は、私の知らないところで大きく変わろうとしていた。
辺境への空路が開通し、バストゥークのコロロカへの入り口が開放された。
故郷ウィンダスでは禁断の魔法が復活しようとしていた。
そしてサンドリア。
騎士登用試験を受けるために騎士団を訪れた私は、一人の竜騎士の引き起こす事件に巻き込まれることになる。
そこで、一匹の飛竜の仔との出遭いが待っていることを、私はまだ知らない。